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レース模様の図書室|massaging capsule & 霧とリボンのご紹介

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massaging capsule | 服飾ブランド →HP
デザイナー渋谷美緒。1998年よりmassaging capsule名義にて服飾製作を開始。 脆く傷付きながら懸命に自立する人物像をイメージし、そのような人たちが強くあるための殻としての服をデザインしている。ブランド名はE・ルッチオーニとマクルーハンの言葉に東京のイメージを重ねたもの。2012年二人展「Her vein, his scales.」(画廊 珈琲 Zaroff)はじめ展示会や催事等参加多数。
霧とリボン KIRI to RIBBON | 服飾・小間物ブランド →HP
「物語を身につけよう!」をコンセプトに、オリジナルのドレスやハンドメイド・アクセサリー、オーガニック紅茶など、愛書家の日々を美しく彩る服飾品や小間物類を制作している。2008年活動スタート、2015年オープンした「菫色」の色彩と世界観にこだわった直営SHOP《Private Cabinet》では、文学・アート・モードの世界を横断する展覧会を開催している。コラボレーション・レーベル《Modern Mauve Flapper》や会員制社交クラブ《菫色連盟》の活動も行っている。

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Lace_通販対象

★サイズオーダー(受注生産)のみ
ブランド名|massaging capsule & 霧とリボン
作品名|クランフォードのカフス(両腕用)

本体:リネン100%
レース
2020年(新作)
サイズ|長さ:約15.5cm
腕周りはお客様のサイズ
ループボタン(各6個)で着脱可能
価格|税込24,200円(両腕分)

★サイズの計測について
二箇所の計測をお願い致します。寸法をご明記の上、お申し込み下さい。
・手の甲の一番広い位置(親指の付け根の骨のあたり)の周囲
・上記の箇所から約15cm肘側に移動した箇所の腕周り

納期|資材手配日より約3週間

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 少女の頃を過ごしたちいさな町ナッツフォードを想いながら、マンチェスターで『CRANFORD/女だけの町』を執筆する英国の小説家・ギャスケル夫人に捧ぐカフス。massaging capsule様の美しい縫製にうっとりした後、1867年版『CRANFORD』を開いてみたら、判型にぴたりと納まるサイズでビックリ! 書物のページみたいなリネン製の両腕用カフスが仕上がりました。

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 少女時代の想い出をモーヴ色の上質なリネンに、スクエアなシルエットは聡明なギャスケル夫人の折り目正しさ、三本のタックは書物のページを模して、そこに物語を綴るインクの黒が模様を描きながら走ります。クランフォードの町に住むお茶目な淑女たちへ注ぐやさしい視線のように、リネンの心地よい風合いが肌を包みます。

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 幅広のシックなチュールレース、タックには2種のケミカルレースを配したデザイン。リネンの野趣に優美なレースを合わせて、モダンテイストに。ジャケットの袖からブラックレースがチラリ覗くのも素敵、お袖が短くなる季節には存在感たっぷりに。夏になり、冷房が強めのお部屋では、肌触りの良いリネンで手首を覆えば冷房対策にもなります。

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 ギャスケル夫人『クランフォード』をはじめて知ったのは、ヴァージニア・ウルフが長編に先駆けて1923年に発表した短編「ボンド街のダロウェイ夫人(川本静子訳『壁のしみ 短編集』収録・みすず書房)」を読んだ時。手袋屋さんに行く途中、ハチャード書店の張出し窓を眺めながら、敬愛を持ってダロウェイ夫人が語る『クランフォード』をすぐに古書で取り寄せ、小池滋氏の翻訳素晴らしい一冊にたちまち魅了されました。

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 massaging capsule様と霧とリボンのカフスは、古き良き時代の手袋へのオマージュ。少女の頃、なぜかはわからないけれど、特別な存在だった手袋と帽子。身につけるお洋服類や靴とはどこか違う空気感、より舶来のムードをたたえていると感じていたのかもしれません。そののち、ヴィクトリア朝時代が舞台の映画やアガサ・クリスティ原作のドラマなどで美しい手袋や帽子に出会い、殊に、二十年代に流行するガントレットのあるアール・デコ調の手袋に心を鷲掴みにされました。(下画像は、手袋のガントレット部分を抽出してデザインしたコラボカフス)

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 最初は、アンティークの素敵な手袋をebay ukで見つけては取り寄せ、装いに加えていたのですが、いかんせん、現代の生活にはなかなかフィットしません。お出かけすると着脱する回数が多く、面倒というより(利便性には屈しません)、憧れていた手袋の美意識(空想のしすぎです)とかけ離れている現代の生活に失望してしまったのです。以来、お帽子は愛用し続けたものの、手袋は憧れの存在として、キャビネットに飾って眺める日々が続きました。

 おさまらない手袋愛を昇華すべく、手の甲を飾る「ガントレット・ブローチ」を発売。手の甲を飾るだけで、手袋へのフェティシズムがかなりの程度満足できることを知った良い機会となりました。*現在もデザイン違いで販売中です。

ガントレットB

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 そんな或る日、お仕事をご一緒していた女性が、初めて目にする装身具を身につけて現れました。一目みて、手袋へのフェティシズムが爆発——それが、massaging capsule様の美しい定番アームコルセットだったのです。最初の出会いからずっと、わたしにとってアームコルセットは、モダンに解釈された優美な長手袋なのです。

 そうして月日は流れ、光栄にも2016年より、コラボレーションでアームコルセットとカフスを発表させて頂いております。手の甲にレースやフリルが重なるだけで、往年の手袋の美意識が舞い降りる不思議。お手元をとても美しく飾ってくれるのは、ひとえにmassaging capsuleデザイナー・渋谷さまの卓越の技とセンスのお陰——

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 実店舗には、これまでのコラボカフスが勢ぞろい。Mauve Cabinetでも少しずつご紹介していきます。

 手袋オタクのお話が長くなってしまいました。手袋が登場する文学作品で大好きなのは、ヴァージニア・ウルフ『ボンド街のダロウェイ夫人』とサラ・ウォーターズ『荊の城』(稀覯本を扱うためにモードが身につける手袋の優雅!/BBCがドラマ化しています)。お帽子が登場するお話では、エリザベス・ボウエン「アン・リーの店」が独走中です。カフスを身につけて、ぜひ書物のページをめくってみて下さいネ。

 ここオンライン・ギャラリー「Mauve Cabinet」は、いつでも好きな時に好きなだけ、コラボ作品を鑑賞できる場所。ぜひまた、massaging capsule様 & 霧とリボンのコーナーに遊びにいらして下さいネ! 

お花2

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