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三人展《シェイクスピアの妹たちの部屋》

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オンライン開催・霧とリボン企画・三人展《シェイクスピアの妹たちの部屋》|2022.2.13〜17 *2/15休|【参加アーティスト】アンヴァンテール/花モト・トモコ/Miss M…
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#エッセイ

三人展《シェイクスピアの妹たちの部屋》|巻頭詩&エッセイ|森山 恵|シェイクスピアの妹たちの部屋

 ジュディス・シェイクスピアは、ヴァージニア・ウルフが《A Room of One’s Own 私ひとりの部屋》で描いた、架空の人物です。文豪シェイクスピアと同じように「冒険好きで、想像力に富み、世界を見たいと渇望」する少女。もしそんな人物がいたら。けれど女の子である限り、教育を受ける機会は与えられず、ましてや書くことなど許されるはずもありません。家事労働を強いられます。それでもジュディスは夢抑えがたく、兄のウィリアムのような役者・劇作家を目指して17歳で出奔します。  ロン

三人展《シェイクスピアの妹たちの部屋》|書斎|花モト・トモコ

 書斎といえば、本を読んだり何か書き物をしたりする部屋のイメージが浮かぶ。周囲は本棚に囲まれ、重厚な机の上には積み上げられた本が置かれている風景だ。  実は書斎の本質は家具や用途にはない。書斎の「斎」という字は一定の場所に「こもる」ことを意味するという。自分ひとりでその部屋にこもって読書なり書き物なりに没頭する。  つまり書斎とは、自分だけの部屋のことなのだ。  ヴァージニア・ウルフの『私ひとりの部屋』には、かつて存在し得たかもしれないシェイクスピアの妹が登場する。まだ女