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大人の遠足

最後に遠足に行ったことを覚えているだろうか。正直言って思い出せない。

何となく高校1年の春が遠足と名打ったイベントの最後だったような気がする。

遠足あるあるかもしれないが、遠足後に、寂しさと達成感を身体が疲れた中で感じたことは覚えている。

何故あんな小さなイベントでワクワク感を味わえたのか…多分、自分の眼で見たことのある世界が狭かっただけのことかもしれない。

19で車の免許を取り、親父の古い車を使うようになって、グンと世界が広がっていった。

今みたいにネットが当たり前の時代ではなかったから、仮想体験はできない。そんな中で「行こうと思えば行ける世界」が拡がったのは自身の世界観を変えた。

行ったことのない場所の風景や空気感をリアルに感じるのは実に貴重な経験になる。

確かにネットの世界で疑似体験することも悪くはない。でも、幾ら高性能のVRでもきっとライブに優るものはない。

だから、大人になっても「遠足」は必要なのだと思う。

東京駅の新幹線ホームで見かけて握手してもらった故平尾誠二さんの凛々しい姿。

最下位相手に勝てた試合を終了間際の凡ミスで追いつかれた時のASローマのスタジアムのどよめき。

淡路島で、震災でできた生々しい断層面を見た時のゾッとした感覚。

やはり、まだまだ「遠足」は必要なのだ。