と或る聞き違い／舞台脚本

【登場人物】
先輩：『シカト』Ｔシャツを着ている。
後輩：『鹿と』Ｔシャツを着ている。
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　　　　　　暗転。
　　　　　　背景：森の中。
　　　　　　照明イン。
　　　　　　上手より、後輩が登場。
先輩　　（声）おーい、おーい！　（上手に登場し）おい、シカトするな
　よ！
後輩　　（振り向き）僕は、鹿となんかしませんよ！
先輩　　今、シカトしただろ!?
後輩　　してませんよ、鹿となんか！
先輩　　いや、しただろ、シカト！
後輩　　しませんよ、鹿となんか、気持ち悪い！
先輩　　気持ち悪いだと!?　それが、先輩に向かって言う言葉か！　シカト
　したくせに！
後輩　　くせにって、そんなにクセは強くないですよ、鹿は。って、何を言
　わせるんですか!?　鹿とはしません。
先輩　　いやいや、俺は、シカトするなって言ってるんだよ。
後輩　　だから、鹿とはしません、してません！
先輩　　したよ、さっき、そこで、シカト！
後輩　　いや、するとしても、そんなところではしません！　って、またま
　た何を言わせるんですか!?　僕は、鹿となんかしてません！
先輩　　ま～ったく、わからないヤツだな。俺は、俺をシカトするなって言
　ってるんだよ！
後輩　　え、今、俺は鹿とするって言ったんですか!?
先輩　　『は(ワ)』じゃなくって、『を』。しかも、『な』を聞き漏らして
　いるからな。いいか、俺をシカトするなって言ったんだよ！
後輩　　え、俺を鹿とさせろですって!?　いいですよ、どうぞどうぞ、遠慮
　しないでやって下さい。
先輩　　いやいやいや、なんでそんな聞き間違えをするのかな!?　さっき
　は、シカトしたくせに！
後輩　　だ～か～ら、僕は、鹿となんかしてませんし、鹿となんかしたくあ
　りません！
先輩　　シカトした！
後輩　　鹿としない！
先輩　　そうだ、シカトはするな！　な！
後輩　　はい！
先輩　　（胸の文字を指差し）シカト、した。
後輩　　（胸の文字を指差し）鹿と、しない。
二人　　なるほど～!!
　　　　　　暗転。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（幕）