宅配便日記002-2 出禁遭遇堕恋
みなさんこんにちは、DJメアリです。
というわけで、宅配便日記002の後半をお送りします。
(ほんの少しの間)うっそ~!?
せっかくの休みに、以前から楽しみにしていた店に入ったのに、また不快な気持ちにさせられたらイヤだなと思いながらも、スズキさんは、恐る恐る聞いてみました。
「以前、ママのお宅に宅配便を届けたことがあって、その直後に出入り禁止にされちゃったんですけど、あのときは、睡眠の邪魔をされたからですか?」
「あら、あなた、宅配便屋さんなの? あのときって、いつ?」
「一週間くらい前です」
「そう…まったく覚えてないけど、でも、もしかしてその日が、五年も付き合っていた男に、別れを告げられた日だったとしたら、そんなことをしてもおかしくなかったかも…」
ママは、遠い目をして話し始めました。
「その日の朝、突然あのひとが訪ねて来て、玄関先で、『別れてくれ』って一言だけ言って、出て行っちゃったの。すぐに追いかけようとしたんだけど、足が動かなくって、その場に座り込んじゃったのよ。…あッ、あなたが来たのって、何時ごろ?」
「一時か、一時半ごろだったと思いますけど」
「そう…そんな早い時間だったのね。なんとなく思い出したんだけど、たぶん、そのあとすぐに着替えて、お店に行って、一人で飲み始めたのよ。それから、来たお客さんを相手に夜通し飲み続けて、どうやって家に帰り着いたのかも覚えてなくて…。でも、後で確認しに行ってみたら、カギは閉まっていたし、売り上げも、ちゃんとレジに入ってたし、ていうか、ホントは銀行の夜間金庫に預けなくちゃいけないんだけど、まぁ、お金も私も無事だったってわけよ」
「そうなんですか。よかった! 僕の落ち度とかではなかったんですね」
スズキさんは、口ではそう言ったものの、釈然としないものが、胸の奥でモヤモヤとしていました。
「ごめんなさいね。泥酔して覚えてないとはいえ、会社にまで電話しちゃって」
「とんでもないです。理由が聞けて、安心しました」
「ホントごめんね。ウチには、そんなに宅配便は来ないと思うけど、今度は、とびっきりの笑顔で受け取るからね」
「ありがとうございます。そのときは、宜しくお願いします」
「ねぇ、今夜は私のおごり。泥酔するまで飲んで行って」
「ホントですか? 遠慮なく頂きます」
「それじゃあ、カンパ~イ!」
そして、出禁は解け、ママのキップのよさに、釈然としないモヤモヤは吹っ飛び、逆に惚れてしまったスズキさんは、それ以来、その店に通いつめ、ママを口説いているらしいんですけど、のらりくらりとはぐらかされて、いつも終電ギリギリで帰るそうです。
きっとママさんは、コワモテ系は好みじゃないんだと思います。
まぁ、そんなこんなで、口説き落とせずに、またまたモヤモヤ気分復活のスズキさんと、きっと同じような経験を、多かれ少なかれしているはずの、全国の宅配便スタッフたちは、お客様の笑顔に逢えるのを楽しみに、今日も元気に街中を走り回っています。
なるほど~!
ところで、私は、コワモテ系もオッケーです。
人間、男も女も顔じゃない!
なんて強調してるからって、私はコワモテ系女子ではないですよ!
これ以上、原稿にないことを口走るとマズイので、本日はここまで。
全国のコワモテ系のみなさんも、そうではないみなさんも、またお耳にかかりましょう!
というわけで、お別れに、メアリからあなたへ歌をお届けします。
近ごろ巷で噂のシンガーが歌います。
では、お聴きくださいませ。
See You!
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