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支援機関に「つなぐ」とは

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1 専門機関へつなぎたい支援者とつながれたくない保護者


 「この子、気になるので専門機関を紹介したいのですが…」


 保育園や学校でよく話題になる質問だと思います。

しかし、「早期発見・早期対応」が叫ばれるようになってから「気になる子どもたち」は「発達障害児」や「被虐待児」としてラベルを貼られるようになってしまったように感じます。


 「専門機関につなぎたい」という支援者の思いの意図はいったいどのようなものでしょうか。そして、保護者にとって専門機関に「つながれる」気持ちの土台をきちんと整えているのでしょうか。


 支援者のみなさんは、専門機関をすすめる意図を具体的に保護者にどのように説明しますか。


「気になる子」と「気にする先生」という軸で連携や支援の在り方、本質を模索しています。

2 「専門機関」は不安がいっぱい


 『「親」は「子ども」によって育てられる』
 育児を経験された方なら分かると思いますが、親が親として親らしくなるためには「子ども」の存在が必要です。


 子どもの笑顔、日々の成長、難しさなどを体感しながら「親」になっていくのだと思います。



 しかし、触覚防衛の強いお子さんだった場合、抱っこや歯磨きを嫌がられ、手をつなぐこともできないということもあるかもしれません。
 「親」が「親」としてのアイデンティティを形成しにくい状況や環境が生まれることもあるかもしれません。
 そんな頑張り屋さんで不安を抱えているかもしれない保護者に対して、どのように「専門機関」につなぐことがよいでしょうか。


 「あなたのお子さんは何か、問題があるようだ」


 「あなたのお子さんはみんなとは少し違うようだ」


 「だから、専門機関に行ったほうがよいかと…」


 これでは、「専門機関」が怖くて行けません。責められるのではないか、障害を無理やり受容させられるのではないか、様々な不安感、不信感だけが大きくなるでしょう。

3 「専門機関」の機能、効能を知っていますか?


 なごや☆きららネットワークの目指すところです。表面上の連携だけではありません。

 子どもたちにとってベスト、またはベターな居場所を「一緒に」探すために支援者にとって必要なスキルです。


 専門機関を紹介する場合、その機関の機能を知っていますか?そこの職員を知っていますか?どんなことをしてもらえるのか説明できますか?


 もちろん機関が果たす社会的役割の認知度や社会の在り方も関わってきますが、「専門機関」のもつ機能や効果、そこでの経験が自分の子どもにとってよいことがあるのであれば、親としてはすぐにでも行こうと思うのではないでしょうか。


さらに輝く子どもたちの姿を引き出すために一緒に作戦会議をする仲間を増やす感覚です。

4 つなぐことが「目的」ではない


 早期発見、早期対応して「障害」を見つけることや親に認識してもらうことが私たち支援者の役割ではありません。私たちの仕事はその子がもっている特性や学習上、生活上の困難さに気付いてその子に合った対応をすることです。


 その子が、“もっている力を発揮して、一人一人がその子なりに仲間の中で育ち合う関係を築き、毎日を楽しく過ごすこと”を支えていくのです。そのために様々な視点や支えが必要であるのであれば「専門機関」とつながる一つの手段をとればよいのです。


参考文献等

『「気になる子ども」と「気にする先生」への支援』(金子書房)渡辺 顕一郎・田中 尚樹
 『気になる子の本当の発達支援【新版】』(風鳴舎)市川奈緒子を参考に

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