頑張るってなんだっけ?
プロローグ
忘れもしない2024年1月20日。私は「頑張り方」を忘れてしまった。
Liella! 5th LoveLive! ~Twinkle Triangle~ 福岡Day1。誰よりも強い想いと努力をもって臨んだ公演であったと思う。
9人の時代までに披露されてきた多くの楽曲の解像度を当日まで向上させ、もし披露された際に"11人で歌う意味"をしっかり噛み締めることができるよう準備してきた。
インタビュー企画「 #教えてあなたの最光星 」では、信頼しているさまざまな友人が実践するラブライブ!スーパースター!!の受け取り方を学び、その素敵さを吸収した。この企画を通して、より多角的にコンテンツの「楽しい」を享受できるようになったと思う。
5th LoveLive! カウントダウン企画「 #明日も明後日も夢みつづけたい 」はこれまで執り行ってきたあらゆるカウントダウン企画の中で最も大きな労力をかけたものだった。周りのみんなを楽しませること、自分本位の企画にならないことに気を遣い散らかして、企画自体もそれなりの成功で幕を下ろすことができたと思う。
でも、そうやって迎えた公演当日、私ははっきり言って全然ライブを楽しむことができなかった。あれだけ大好きだった「Starlight Prologue」を見ても、「ノンフィクション!!」を見ても、「Wish Song」を見ても、心が揺れ動くような感覚を全く味わうことができなかった。
そして始まったアンコール。幕間で人生で一番くらい大切な楽曲であるはずの「START!! True dreams」の披露が仄めかされるのを耳にして、「こんな感情で受け取りたくなかったな」なんて思考がふと頭をよぎった瞬間。
ラブライブ!スーパースター!!のオタクとしての自分は終わったんだな、って思ったんだ。
頑張るってなんだっけ?
一時期本気でラブライブ!スーパースター!!から距離を置くか悩んだけど、弱音をぶちまけまくる自分に手を差し伸べてくれたさまざまな友人と、そして5th LoveLive!の捉え方を根本から変えるような人生の転機(原宿移住)のおかげで、なんとか東京公演は楽しむことができた。
それから自分のラブライブ!スーパースター!!の向き合い方は「努力本位」から「楽しい本位」に転換していった。
これまでは「ラブライブ!スーパースター!!から勇気をもらって、全力でそれに応える在り方」をメインに据えていたけど、ある程度頭空っぽにして、ただ受け取った供給に狂い続けるという立ち位置を貫くようになった。
この二つには優劣とかはなくて、どんな向き合い方が向いてるかってだけの話なのだろう。もしかしたら自分は前者向きの性格ではなかったのかもな、なんて思ったがゆえの方針転換だった。
実際、そういう自分で臨んだ絵森彩さんのバースデーイベントは楽しかった。やっぱりオタクはこうあるべきなのかもな、と思わされたくらいに。
そんな向き合い方でゆるい日々を過ごして一ヶ月程度経ったある日。当時ユニット甲子園を控えていた自分は、突如頑張りたい気持ちに襲われた。
もとよりユニット甲子園のカウントダウン企画の構想を練っていて、それを具現化したいという想いからだった。久々に重い腰を上げて何かをやってみるか、とPCに向き合う私。
1時間が経過した。そこには、かつて作っていた企画の叩き台メモを前にして、何も作業が進んでいない自分がいた。
以前の自分なら思いついていたであろうちょっとした工夫やアイデアが出てこない。すでに構想にある作業を進展させる気概も全く起きてこない。一ヶ月間身の程に余る「楽しい」に甘えすぎていた自分は「頑張り方」をついに忘れてしまっていたのだった。
その日行った作業は、ただ構想を相談していた相手に「ユニット甲子園のカウントダウン企画は中止とします。楽しみにしてたならごめんね。」とLINEを送るただそれだけだった。
ファンミの前にもカウントダウン企画を実施する予定だったが、それも中止にした。いつの間にか私は、頑張ろうと思っても頑張れない、そんな人間に落ちぶれてしまっていたんだ。
頑張りたいわたしが震えてたの
程なくして私は社会人となった。ラブライブ!スーパースター!!に背中を押してもらったから入社できた第一志望の企業だ。
意外と時間は余った。学生時代はかなりのバイト戦士だったから、むしろ起床時間・就寝時間のルーティーンが明確に定められてかなり楽になった。
あんまり時間が余ってるからランニングを始めた。ダーツという新しい趣味に出会い、近所のお店に無限に通うようになった。そのくせアルバイトよりも給料はよほど良い。明確にQOLは上がったはずだった。
それでも。いや、だからこそ。自分の中の昏い感情はさらに影を強めることとなった。
こんなに時間が余っているのに、頑張るベクトルへ有効活用できていない自分が憎くて憎くて仕方ない。これまで自分がラブライブ!スーパースター!!から学んできたはずのことをちっぽけも活かせていない。こんな自分でいいのかって苦しんだ。
そんなある日のこと。ラブライブ!スーパースター!!から勇気を受け取って就活を頑張り、志望していた職種の企業での就職がほぼ確定した友人と久しぶりに原宿で会って話した。
彼の話を聞いているうちにどうしても自分の現状が苦しくなってしまって、初めてここに書いてきたような悩みをぶちまけた。返ってきたのは意外な質問だった。
『きらんっていうアカウントは、あなたの人生は、ラブライブ!スーパースター!!と出逢って何が変わったの?ラブライブ!スーパースター!!と出逢ってから、どんな軌跡を辿ってきたの?』
予想外すぎる言葉にちょっと困惑しながらも、自分のこれまでを頭の中で整理して語り始めた。
「そもそもきらんってアカウントはStarlinesであまりにも感動したから誕生したもので…」
「Starlinesで受け取ったSTART!! True dreamsがラブライブ!スーパースター!!に勇気をもらって行動するっていう考え方の起点で…」
「2期生に出逢ってからラブライブ!スーパースター!!に恩返しをしたいなって思うようになって、また人生が変わって…」
「2期生に恩返しをするためにきらんというアカウントを使って行動を起こすようになって…」
ラブライブ!スーパースター!!と出逢ってから輝き始めた日々の記憶を語り出す私。その言葉は、辿々しくも迷いがなかった気がして。
帰ってから、これまで自分が人生の転機を迎えたときのSNSの投稿や、当時書いていた記事を読み返し、その時の感情に想いを馳せた。
First LoveLive!追加公演Day1の終演後に、楽しすぎた季節が終わりを迎えてしまう寂しさに人生で初めて人前で涙したこと。
そんな自分を、「START!! True dreams」が温かい言葉で救ってくれたこと。
これからもラブライブ!スーパースター!!の歌詞に共感できる自分でありたいなって思うようになって、ずっと止まってた人生の秒針が動き出したこと。
2期生の加入の情報を見て、正直5人のLiella!への恋しさにちょっと胸が痛くなってしまったこと。
ラブライブ!スーパースター!!に苦しむそんな時にすらラブライブ!スーパースター!!の言葉に救われて大泣きしたこと。
その嬉しさを胸に、全力でラブライブ!スーパースター!!に恩返しするのを誓ったこと。
毎週のように宇都宮から原宿へ通ってリアタイしたラブライブ!スーパースター!!2期の期間が人生最高の季節だったこと。
そんな作品に背中を押されて、大好きで仕方ないLiella!に背を向けて自分の夢へ向き合う決意をしたこと。
一緒にそれまでの季節を駆け抜けた仲間が「ラブライブ!スーパースター!!のために誰よりも頑張ってきたお前なら絶対に大丈夫」「俺たちはずっとここで待ってるよ」って言葉をかけてくれたこと。
できるわけないって挫けそうになりながらも、ラブライブ!スーパースター!!の歌詞に勇気をもらって、この作品に誇れる自分でありたいなって涙を浮かべて就活を頑張ったこと。
迎えた最終面接で、これまでラブライブ!スーパースター!!を想って実践してきたことを話した瞬間、面接官の目の色が変わるのを感じたこと。
夢を叶え、ラブライブ!スーパースター!!が前よりずっと大好きになった自分で迎えた4th LoveLive!で、これまでの努力全てが報われるのを感じたこと。
思えば、自分は最初のあの日からずっとそうだった。いつだってラブライブ!スーパースター!!から何かを受け取って、自分の人生に還元してきた。
その在り方は、どうしようもないくらいに私のラブライブ!だったんだ。
当たり前のことのはずだったのに、それでもその瞬間まで思い出せなかったこの想い。
きっとあまりにも大切だったんだろう。どうしてもこれだけはなくしたくなかったんだろう。ゆえに心の奥底に仕舞い込んで見つけられなくなっていたんだろう。葉月花さんが学校アイドル部に鍵をかけて遺していったノートの如く。
もう絶対に忘れない。失いたくないあなただけは。
いまならまた一歩踏み出せるかも!
もう一度ラブライブ!
先週の土曜日に開催したラブライブ!スーパースター!!座談会〜心!技!体!極楽座談会!!〜は、私がこれまで開催したオフ会企画で最高と言えるだけのものができたと思う。
やっぱりまだ頑張るのが怖くて、タスクに手がつかない期間もあった。なんならちょこっとやり残しがあったりして、当日は大慌てだった。
それでも、ありったけの大好きを叫びあって、みんなの笑顔をたくさん浴びたあの時間はあまりにも幸福だった。
たくさんの参加者の方がありがとうって言葉にして伝えてくれた。こちらこそ、こんなちっぽけな私を信じてここに集まってくれてありがとうだよ。
完全に以前の勢いを取り戻せたわけじゃない。まだまだリハビリ期間といったところだ。
それでも、頑張りたいって願い続けてくれた私を、もがき続けてもう一度自分が在りたい自分の姿を取り戻してくれた私を、いまはちょっとだけ誇りに思いたい。
ここからまたスタートラインだ。
叶わないと泣くのは。
私がいま心から思えるのは、在りたい自分とのギャップに苦しんだこの期間は決して無駄ではなかったということです。
夢も希望も愛も、時に報われないものです。なんなら報われる母数の方が少ないでしょう。厳しくも世の中ってそういうものなんです。
だからこそ、きっと夢を叶えるために一番必要なのって「頑張りたいわたし」を胸に置き続けることなのではないでしょうか。頑張りたいって思い続けられているなら、頭は常に前向きに夢に続く道を探し続けるものですから。
私は大好きに挫けたこの経験を通して、「頑張りたいわたし」が自分の中に輝き続けてくれていることに気づくことができました。
そして、それを維持し続けるに足るくらいの感謝と覚悟をもってラブライブ!スーパースター!!に向き合えている自分を、前よりちょっとだけ誇らしく感じられるようになりました。
ラブライブ!スーパースター!!のおかげで体得できたこのスキルは、きっと今後また大きな夢に向き合った時にも自分を支えてくれるはずです。
また、叶わないことを嘆く時間にも意味があるって思えるようになりました。
夢を想って苦しむ瞬間の積み重ねこそが、いざ夢が叶い始めた時の高鳴りを増幅させてくれるからです。
先ほどの話にも繋がりますが、なかなか前に進むことのできない焦りや苦しさは、前に進みたいと強く願っているからこそ生まれる感情であり、前に進む勇気と前に進めた時の歓びを増幅させてくれるスパイスなんですよね。
いまだからこそ言えることなんですけど、私が5th LoveLive!を楽しみきれなかった理由の一つに間違いなく「意味の求めすぎ」がありました。
Firstから4thにかけて、それぞれであまりにも大きな「意味」を受け取ってきてしまった私は、5th LoveLive!の舞台においてもまたそれに拘ってしまい、最初から「自分がこのライブで受け取るべき意味はこれだ!」って決めつけて参加してしまったんです。
結果として、本来それとは違うところにあったはずのライブの「意味」を受け取れずに帰ってきてしまったんですね。
でも、結論として私はここまで語ってきたような「意味」を享受することができました。思う形とは違ったし、随分と遠回りをしてきてしまったようではあるけれどね。
だから、これからはラブライブ!スーパースター!!が「答え」を持っていてくれることを信じて、焦らずに一歩一歩進んでいこうと思います。未熟すぎる私だけど、これからもオタクとして成長していきたいな。
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