家具職人や手縫いレザークラフトの作家が独立で苦労する理由
今の自分の生活スタイルを確立する上で非常に役立った職歴の中に店舗什器や工業機械の引っ越し会社に勤めた時の経験は今に至る人生にも多大な影響を与えました。
たくさんの店舗や工場のレイアウトを眺める機会が多かったので自然と能率の上がる機械配置や物の動かし方というのが分かっていきました。
そしてその中で廃業していく工場や工房もたくさん見ました。
正直今の多様化した世の中で売れないものはないともいえます。
作った物は見た目が良く、値段もそこそこなら何であっても売れます。
では本題になりますが、家具職人(主に無垢材)や革細工の作家さんなどが何故独立で苦労するのかという話になります。
技量も経験もある人でも常に資金も時間もカツカツで、事業を大きく拡大させられないのは何故なのでしょうか?
要因として大きいのは『芸術的要素が強い』というのがあると思います。
著名な作家さんの作品を即売会などで見ると、その作品の完成度というのは誰が見ても素晴らしいと思うものです。
人の手で膨大な工程を加えた作品のその素晴らしさはまさに芸術で真似出来ません。
これが長所でもあり短所でもあります。
作品がその人にしか作れないのです。
会社を立ち上げてもノウハウの共有が難しい。
いわゆる再現性がないなどとも言われますが1人で作業し続けなくてはいけない以上、事業としてはいつまでも楽になっていくことはありません。
芸術性要素の高い作家さんが利益を得るには1つの作品で数十万円の技術量をいただくのは当然であり、それでも全く美味しい仕事ということはありません。
そうして得た収入も高級な材料をストックする資金に回したり、工房の家賃や自分自身の生活もありますから、それでも全く採算が取れないと思っていただいてもいいです。
絵画なんかで考えると分かりやすいかもしれません。
油絵などの製作には何ヶ月もかかるのに書き上げても売れるかは分からない。
それでは生活はしていけません。
独立する作家さんはどこかで長い時間をかけて修業してきている人が多いので閉鎖的なコミュニティで利益よりも技量を追求してしまい採算が度外視になりがちなのです。
作品や仕事に対する姿勢というのは相当厳しいです。
もちろん仕事として能率や効率は考えているでしょうが、それ以上に価値観や技術に重きを置いている人が多いのです。
なのでまずこの分野で独立を考えている人は自分が何をしたいのかというのをしっかり考えておかないと宙ぶらりんな物を作ってしまうことになります。
物を作るという仕事を思いついた時は工場生産的な考えなのか、職人としての思想を追求するのかどちらを重視するのか考えましょう。
はっきり分けられない場合もありますが、ここの所の考え方が壁になることは非常に多いので理念として利益なのか思想を重んじるのかは考えておいた方がいいと思います。
どちらを選んだ場合でも後ろめたい気持ちになる製品は作ってはいけないと思います。
製品なのか作品なのかポリシーを持ちましょう。
ポリシーが共有できないと人を使うにしても仕事への取り組み方もチグハグになりますしスピードアップも図れません。
場合によっては採算も合わない上に職人達に後ろ指さされてすぐに廃業ということにもなってしまいます。
芸術性の高い作品は採算が合わないから苦労するというのが独立で作家さんが苦労する理由です。
特別な技量を持ち合わせない作家さんが物作りで廃業しないためには製品の作り方を学ぶ以上に工場生産の勉強も不可欠なのです。
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