バカになれ

最近の授業では、僕が教えることは極力減らし、生徒が他の生徒に教える機会を増やしています。ペアでパートナーに教えたり、グループの中で他のメンバーに教えたり。

教科書にアンダーライン引いたり、教科書を何度も読んだり、黒板に書かれたことをすべてノートに書き写したり、そんな典型的な勉強法は、脳科学的にあまり効果がないと実証されています。

学んだことを、アウトプットすることで、記憶は定着するんです。勉強とは、つまり、思い出すことなんです。思い出して、他者に伝えることができれば、長期記憶になるんです。覚えてはすぐ忘れる短期記憶を繰り返しても、学力は上がりません。

よくYouTubeを見るんです。人気のあるユーチューバーは、たいてい、二人で出てきます。頭のよさそうな人が話し、バカそうなもう一人は聞き役。しかし、バカそうな聞き役は、全然、バカじゃないんです。おもしろい話を引き出すという高度なテクニックを身につけています。

で、生徒たちに、バカになれ、と言うんです。バカ役がしっかりその役に徹することで、問題が明確になり、教師役がしっかりと教えることできるからです。で、お互いに学力が上がるはずです。

刑事コロンボ、バカなふりをして、犯人に教えを乞います。犯人は、コロンボをバカにしながら、アリバイを説明していきます。コロンボは、小さな綻びを見つけては、質問を繰り返し、犯人を追い詰めていきます。最後は、犯人が落ちます。

そんなバカが、僕はカッコいい、と思うんです。


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