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僕らはいつだって、不平等で不確かな夜を越えて

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退屈なエッセイ集です。
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2023年4月の記事一覧

僕らはいつだって、不平等で不確かな夜を越えて 「幸せが溢れたら」

僕らはいつだって、不平等で不確かな夜を越えて 「幸せが溢れたら」

先日、僕の「半分」とも呼べる人が死んだ。

「半分」なんて言い方をし出したのは彼女の方だったけれど、確かに適切な名称もなかった僕らの関係に「半分」は悪くない表現だった。その朝、僕は「半分」を失って、いつもより身体が軽くなって、いつもより気分が重くなった。乳白色に包まれる爽やかな街の風に、始発電車の軋轢が痛いような朝だったことをよく覚えている。

「私は貴方を好きにならないと覚悟を決めて会いに来

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