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【「読む・書く」が難しいとは?】意外と身近にいる「読み書き障害」

・漢字がどうしても覚えられない
・「へん」と「つくり」を逆に書いてしまう
・教科書の文章を読んでも頭に入ってこない
・作文が苦手

こういった子どもたちはいませんか。
前回記事でもお伝えしましたが、現在でもまだまだ「限局性学習症(SLD)」についての情報が少なく、学校現場では「勉強が苦手な子」として扱われ、ほったらかしになっている子どもたちがいます。

そういった子どもが実際に私の勤務している事業所にきて、初めてSLDであることがわかるケースが頻繁にあります。

そこで、今回はそういった子どもたちを一人でも早く助けるために、学習障害の中でも比較的発見されやすい「読む」「聞く」に障害がある場合(一般的に「読み書き障害」と言われたりしています)の特性や困り感について共有します。
↓前回記事↓

【そもそも「読み書き障害」って何?】

読み書き障害とは、言葉を読んだり書いたりすることに課題がある障害です。

■限局性読字障害(文字を読むことが困難な障害)

◆文字を見て理解しているのに言葉として出てこないタイプ(ディスレクシア)
音韻の困難(文字と音が一致しない

文章の内容が理解できないタイプ

◆まれに視覚機能自体に困難がある場合もある

 

■限局性書字障害(ディスグラフィア:文字を書くのが困難な障害)

◆文字が正しく書けない(特に漢字)タイプ
・音、イメージから文字が浮かばない(想起の困難)

◆文法や句読点の使い方や文章表現がわからないタイプ
・順序性の困難(記憶力・計画性の困難)

運動機能に課題がある(手先の困難)
発達性協調運動障害(DCD)の可能性もある

これらのいずれかに問題がある時に「読み書き障害」と考え支援します。

【「読む」ことの障害の特性】

■文字を正しく読めない(間違った発音をする)
・「た」と「だ」などの似た文字を判読することが苦手
・「ゃ、ゅ、ょ」などの拗音、小さい「っ」の促音、「プール」「ゲーム」など音を伸ばす長音を読めない、または読み間違えやすい
・うまく読めない時、途中で黙ってしまいがち

■単語を発音できない(間違った発音をする)
・単語を判読することが苦手
・「読む」「読書」のような、漢字の音読みと訓読みが覚えられない
・「とうふ」を「とふう」と読んでしまう
・「自動車」を読ませると「くるま」、「学校」を「べんきょう」と読むなど、似た意味関連した別の単語の読みをする

↓「坂道」を「どうろ」、「苦しい」を「きびしい」と読んでいる(小6)。

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■文字や単語を抜かして読む(読むのが遅い)
・文章を読む際、文字や単語、行を飛ばして読む
・拾い読みや何度もつっかえるなどスムーズに読めない
・たどたどしく読むため、読むスピードが遅い

■音読はできても、意味を理解していない
・声に出して文章を読むことはできるが、その意味を理解していない
・ただし、黙読だと理解できることもある

■文字として読めるが、頭の中で音が出てこないので文の意味がわからない
「ひよこ」という文字を見た際、記号的に「ひ・よ・こ」と読めるが、それが音として「ひよこ」にならないため、文章の意味が理解できない。

※医学的には「読字障害(ディスレクシア)」に該当します。


【「書く」ことの障害の特性】

■文字は読めるけど、正しく書けない状態
・言葉と意味は理解しているが、その文字を正しく書けない
・ひらがなやカタカナは書けるが、漢字が書けない
・漢字の「へん」と「つくり」が逆になったりする
・鏡文字を書く
↓「九」を「きゅう」と読めるし意味もわかっているが、読みがなを「9」と記載。「百」の真ん中の線が一本多い(小3修了時)。

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■単語が書けない(誤った文字が混じる)
・単語の意味は理解できるのに、単語を書くことが出来ない
・誤った文字が混じって書いてしまう
・「まぜる」と「まざる」、「しぼる」と「しばる」のように、似たような単語の区別がつかない

■短い文章しか書けない(単純な文章しか書けない)
・文字を書くことに努力がいるため、長い文章が書けない
・「ケーキを食べた。おいしかった」というように、短く単純な文章を書いてしまう

■文法的な誤りが多い
・「て」「に」「を」「は」といった文章をつなげる接続詞や助詞が苦手
・「おじいちゃんがプレゼントにもらった。うれしい」というような、文法的に意味の通じない文章を書く

※医学的には「書字障害(ディスグラフィア)」に該当します。

※頭の中で考えたことをアウトプットするところで何かしらの問題がある状態と言われています。

文字自体が書けない場合は、LDだけではなく「発達性協調運動症(DCD)」との合併をしている可能性もあります。この「発達性強調運動症」については、別記事を作成予定です。

【読む・書くの障害による困り感】

■学校の授業についていけない

①教科書の文章が読めず、音読ができない
文字を正しく読めないため、音読ができない。授業中に音読を当てられるのが苦痛。

②漢字の音読みと訓読みがわからない
ほとんどの漢字には音読み訓読みがあり、どう読むかを瞬時に判断する力が必要だが、LDの子どもはとっさにどう読めばいいのかわからない

③漢字がうまく書けない
ひらがなやカタカナが書けても、漢字が書けず授業についていけなくなる。

④文章のルールがわからない主語修飾語などの文章のルール規則を覚えるのが苦手。
どれが主語なのか修飾語なのか、主語と述語の順番がわからなくなったりする。

↓修飾語を選択する問題。全て誤解答(小6)。

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⑤言葉のつながりがわからない「がっこうにいく」を「がっこう に いく」と単語に区切って読むことができない。言葉をひとまとまりのものとして捉えることが苦手なので、「が っ こ う に い く」と一音一音なぞるように読んでしまい、文の意味がわかるところまでいっていない。

⑥作文がうまく書けない
LDの子は文章をまとめる力が弱く、文章を組み立てるルールを理解することが苦手なので、「きのう電車が乗った」などと書いてしまう。


【まとめ】

今回は、「学習障害」の中でも学習の基本となる「読む」と「書く」の困難についてまとめました。


学習障害の中では比較的発見される特性かなと感じますが、それでも学校では見逃されているのが現状です。

この「読む」「書く」に課題があれば、もちろん「話す」「聞く」にも影響してきます。

何より勉強が出来ないため学校が苦痛になり、実際に私が関わってきた子どもたちの多くは、不登校教室の飛び出しをするなど、一斉授業を受けられる状態ではありませんでした。

こういった「読む」「書く」に課題がある子どもたちに対しての具体的な支援方法対応策などについても、今後記事にしていくつもりなので、またよろしければお立ち寄りください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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