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【読書感想文】夜市

恒川光太郎さんの「夜市」を読みました。

個人的にとても好きな作品でした。
いい作品に巡り会うと満たされた気持ちになりますが、私にとってこの作品がまさにそうでした。
恒川さんの小説は初めて読んだので、他の作品も読んでみたいと思います。

この本は表題作の「夜市」と、「風の古道」の二篇からなります。
夜市は日本ホラー小説大賞を受賞していますが、ホラーが嫌いな人でも読める内容です。

雰囲気としては、怪談が混じったファンタジーという感じです。
小学校高学年くらいでも、怖がらずに読めるのではないでしょうか。

以下、あらすじを含めて紹介していきますので、少しでもネタバレを避けたい方は読まない方がいいかもしれません。

夜市

妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。
ここでは望むものが何でも手に入る。

小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。
野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。

そして今夜、弟を買い戻すため、裕司は再び夜市を訪れた――。

小説紹介文より引用

主人公たちが夜市という独特な世界に迷い込んでいく様子、夜市で商売する異世界の住人たちの描写に引き込まれていきます。


風の古道

何か懐かしい気持ちになる作品です。
古道という名の、この世とは別の世界の道に迷い込む話ですが、小学生くらいの時にこれに似た妄想をした気がします。
この世のどこかに裂け目があり、異世界に通じている…

夜市もそうですが、この作者の文章には温かい印象を感じます。
物語の世界に優しく誘われていく感じです。

日常と非日常の境目が曖昧で、ふと気付くと自分も異世界に迷い込んでいた、という感覚を読書しながら受けました。
ラストまでしっかり物語の世界に浸ることができました。とても良かったです。

背筋が凍るようなホラー小説が好きな方には物足りないかもしれません。
儚くも美しさを感じる文章や物語が好きな方にはおすすめです。

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