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大学時代のノリくん

ノリくんは今どこにいるんだろう。



当時大学生になったばかりの私は
急に垢抜けたせいか
たくさんの人にアプローチを受けた。


高校時代の彼氏に受験直前に振られて
すぐに大学で付き合ったのはバイク通学の男の子。
もう名前も忘れてしまった。
すごく優しくて、でも優しすぎてつまらなかった。


その彼とはすぐに別れた。


その後は誘ってくる男の子をかわしながら
研究会という名の飲みサーを立ち上げて
法学部の友達とよく飲んだ。
その中にいたのが、ノリくん。
ノリくんはオレ様で、博識で、甘え下手で、私のことが大好きだった。
オリラジの藤森に似てる感じ。笑

彼の強い押しによってつきあうことになった私たち。
初めて彼氏に料理を振る舞って
カレーすら満足に作れない自分にへこんだ。


一緒にたくさんの音楽を聴いて
バイトに明け暮れて
大学の夜のプールに忍び込んで月明かりで泳いだ。
大雪が降った日は大学の中庭で朝まで遊んだ。
勉強もたくさん教えてくれたし
彼の地元に夏休みついて行ってお祭りにも行った。
2人でTVのインタビューを受けたこともあった。


結婚しようと言ってくれたのは
彼が初めてだった。



だけどノリくんは少し私を試すところがあって
若かった私はそれに対応する術を知らなかった。
時折大声をあげて怒鳴ったり
デートの途中で帰られたりすることが出てきて、
1人泣きながら帰ったこともあった。





ある冬休みのとき、
ノリくんは片道3時間かかる実家に帰省して、
冬休みがあけるまで帰ってこないねと言った。
用事があったと言うより、
私を突然放置している感じに近かった。


寂しかった私は冬休み限定のアルバイトをはじめた。
そのときに他大学の年下の男の子(Uくん)から猛烈なアプローチをうける。
車での送迎はもちろん、
「すきだ」
「彼氏と別れてほしい」と毎日言われた。

ノリくんにも伝えた。
このまま寂しく放っておかれると、
Uくんに流されそうで怖い。
めちゃくちゃ私のことすきでいてくれてるんだよ、
私ノリくんがすきかその子のことがすきか
わかんなくなってきちゃうよ、と。



ノリくんは笑って
そんなわけないだろ、
その男のとこ行くなら行ってみろよと言った。


悲しかった。
ちゃんとすきだから帰るまで待っててねと言って欲しかった。


Uくんはバイトがない日も連絡をくれて、
私に会いにきた。
私が友達と飲み会の時は、
帰り危ないからと車で迎えにきてくれた。
たくさんの男の子が声をかけてくるけど、
Uくんはとりわけ私にメロメロだった。


もうUくんにいきたかった。
冬休みが終わって実家から帰ってきたノリくんに伝えた。

「Uくんとつきあう。別れてください」


ノリくんははじめてことの重大さに気づいて、
ずっとうみのことを大事にするから
別れないでほしいと何度も繰り返した。


私たちは朝まで泣きながら話合い、
そして別れた。





Uくんとつきあって私は幸せだった。


ほどなくして
「友だちとして飲もうよ」と言うノリくんと
ノリくんの友達と3人で飲んだ。


2次会はノリくんの部屋で。
ノリくんの友達は帰った。
当時実家暮らしだった私はもう帰れる時間になく、ノリくんの部屋に泊まることになった。


酔っ払った、別れたばかりの2人。
パジャマがわりの彼のオーバーサイズのTシャツ。

あの時一切の言葉を交わさずとも、
ベットでお互いの太腿の体温を感じたのを覚えている。
それから私たちは
言葉もなく激しく求め合った。



そして次の日、
何もなかった顔をしてUくんと会った。





後日ノリくんから実家あてに手紙が来た。
アパートを引き払って新しい部屋を借りたこと、
彼女ができたこと。


本当にすきだった、
いつまでもうみが幸せでいますように
と綴られていた。


大学を卒業したあと、
ノリくんと友だちの葬儀で一度だけ顔を合わせた。
その時はもう完全に友だちとして、笑顔で別れた。


そしてその後
ノリくんは突然携帯の電話番号を変えた。

周りの友達は
「うみには番号を知らせるな言われている」
といい、私とノリくんの関係は遮断された。




ノリくん、あれからかなりの年月がたったね。
元気でいますか。


たくさん愛してくれてありがとう、
本当に楽しい学生生活でした。


ノリくんが、ずっと幸せでいますように。





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