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授業中に発言するということ

いわゆる儒教式の教育を受けてきている日本人には最初はなかなか難しいかもしれません。授業というのは、黙って先生の話を聞くものだと刷り込まれてきたし、質問をするということは先生の権威に挑戦することだとすら思われるかもしれない。しかし、欧米では学生主体の授業であることがほとんど。特にアメリカでは、「自分は」どう思うのか、小さい頃から常に問われ、授業中に発言することは「積極的に授業に参加すること」とポジティブに捉えられます。というか、それをしないのはマイナス。

自分も留学生時代、授業中に発言できるようになるまでに何年かかかってしまいました。まず、英語に自信がない。そして、自分の発言内容にも自信がないからです。これらを乗り越えるためには、まず周りの学生たちの発言をよーく聞いてみること。いつも絶妙なコメントをする切れ者の学生ももちろんいますが、そうでもない人もたくさんいることに気がつきます。なんなら、ただ声がデカいだけ、とか(笑)、なんか堂々と自信にあふれているからもっともらしく聞こえるとか。自分が考えていたことと全く同じ内容を発言していることもある。そして、大きな声で話しさえすれば、自分の拙い英語でも理解してもらえることがほとんどだということにだんだん気がついていきます。これらを経験を通して学んでからは授業中の発言はこわくなくなりました。

授業でそれができるようになると、セミナーやワークショップでもできるようになります。ミーティングでの質問も同じこと。コツは、話を聞きながら要点のメモをとっていくときに、随時疑問に思った点、もっと情報が欲しい点をそこに書き込んでいくこと。その場のディスカッションに耳を傾けながらも、同時進行で質問をまとめています。このとき、いくつも同じような質問を投げかけるのではなく、ひとつのまとまった質問にできるとより良いと思います。どうしても互いに関連性のないふたつの質問をしたいときは、I have two questions.と冒頭でアナウンスしてから、One is…とひとつ目を説明、それからThe other is…とふたつ目を説明する。大抵、相手はふたつの質問を聞いてから答え始めてくれますが、もしひとつ目の質問を聞いてすぐ「あ、それはね……」と回答が始まってしまっても、既にふたつ質問がある旨宣言してあるので、「で、ふたつ目の質問は?」と戻ってきてくれる。

授業で発言することは大切ですが、自分の発言だけで何分もかかってしまい、他の人が発言するチャンスを奪ってしまうのはNG。なので、質問は手短に、回答が得られたらすぐ他の人の番になるように。ここで独壇場になってしまい、空気読めないヤツはアメリカでもみんなから引かれるので注意(笑)。もし納得できなかったり、もっと質問したかったら、授業時間を使うのではなく、授業後に先生に聞きにいくのがいいです。セミナーの場合も同じ。特に学会やセミナーでは発表時間が決まっているので、それをわきまえて発表後にスピーカーに近づき、お礼を述べてから質問を投げるのがマナーかなと思います。

「変なことを言ってしまったらどうしよう」とか「(自分の英語が)わかってもらえなかったら」とつい考えてしまいがちですが、その心配は無用なことが多い。まちがったことを言ってしまうことを恐れて黙っているより、拙い英語でも積極的に発言する学生の方が印象は良いものです。

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