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奥ゆかしいタマネギから学んだこと

シャッと剥けると、気持ちがいい。でも今日のタマネギはダメだった。皮のような部分がうまく剥けない。カーブに沿うようにくっついて「僕はここが好き」と主張する。

やさしく剥がそうとするが、ううん……取れない。「そんなに本体ちゃんが好きなの?」なんて言いながら、丸っこい姿に近づいてみる。

少しだけ剥けた皮みたいな部分をよく見てみると、外側は「タマネギ」らしいお姿だが、裏側はでこぼこしていた。血管もしくは指紋みたい。生の証を突きつけられた気がした。

そっか、だから離れたくないのか。

「奥ゆかしい」という言葉が浮かんだ。人間である私も、多少の奥ゆかしさを忘れてはいけないなあ、とタマネギに教えてもらった気分。

「ごめんね」と「ありがとう」が入り交じった気持ちとともに、タマネギの「生」をいただいた。


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