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接線

吹く風に折られることも
誰かの手に撫でられることも
櫛にかかることも
運悪くすきバサミの刃にふれることもなかったのだろう
そのほそく白いもののなかには
夏の記憶が保存されているはず
冬の空を巨大な雲が流れてゆくとき
はるかなるものと
かすかに息するものの接線が
テーブルのうえにおかれている

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