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時の粉

たまにみる夢の中のその斜面は
山にむかう小さな川と道の
右側に有った
そこへ何度か来たことがあるということを
夢の中のわたしは確信していた
草の下に白い土の層がみえる
つかえる粘土であるということを
喜びをこめて直感している夢を
粘土の堆積した地層から遠くはなれている者の
みる夢であるとした解釈は
まちがっていたかもしれない

滑走を約束するその細やかな質と
自由な可塑性をもつその白いものは
堆積し隠されていた「時」そのものでは なかったのか
暦神からはるばる梱包されて届けられる
すでに練り上げられた 灰色の「時」
つかえきれない残余の屑を積みあげ続けている
その「時」ではなく
わたしが探し遭遇したのは
原なる「時」の層ではなかったのか
それを手にとり、かたちにしてゆけば
もう一度のでも 
もうひとつのでもない
わたしのはじまりを
はじめることができる・・・・

しかし
夢の中のわたしはスコップも袋も持ってはいなかった

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