経験からのマネジメント論「リーダーシップを発揮する」
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経験からのマネジメント論「リーダーシップを発揮する」

kinzen

◆はじめに

組織やチームには必ずリーダーが必要となります。所謂フラットなチームにおいても暗黙的にリーダーが存在しているか、或いはメンバ全員がいずれかの形でリーダーシップを発揮しています。
人は自然とリーダーとしてリーダーシップを発揮することがありますが、知識をもって知恵を発揮した方が効率的なのは明らかです。

私はマネジメントの学習を経てリーダーシップの知識を学び、また、多くのチームでリーダーの役割を経験してきました。これらの知識と経験(知恵)から、私が考えるリーダーシップについて書いてみました。


◆リーダーシップとは何か?

Wikipediaにはこのように書かれています。

「自己の理念や価値観に基づいて、魅力ある目標を設定し、またその実現体制を構築し、人々の意欲を高め成長させながら、課題や障害を解決する行動」。またリーダーシップにおいて、リーダーの資質や人格的特徴は古来から関心の焦点となってきたが、リーダーが先天的に持つ資質や才能は、リーダーシップの質(英: leadership qualities)に影響する。
~(中略)~
領域の多様性と、リーダーシップとされる働きの多様性から、リーダーシップ概念の確固とした定義は「他者に影響を与える」という共通項以外は定まっていない。

出典:Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%83%97

ちょっと解りづらいですね。簡単にまとめると以下の4点になります。

1.目標の設定と体制の構築
2.メンバの意欲を高める
3.課題の露出と解決するための行動をとる
4.特定の答えは無い

リーダーシップとはリーダーとしての資質やスキルです。なので必ずしも業務知識や技術スキルなどが備わっている必要はありません。「優秀な人が優秀なリーダーとなれるわけではない」と言われることがありますが、特定分野でカリスマ性が高くてもリーダーになれるかは解らないのです。

私の目指すリーダーシップは、指示を出すことではなく、指示を出さなくてもチームが機能する状態を作ることです。これは、ある程度の決まった考え方によって実現できると考えています。性格や資質にも左右されるかもしれませんが、特定の分野に強いカリスマになるよりもずっと簡単だと思います。


◆間違ったリーダーシップ

前項でも書いたとおりリーダーシップは多様性があるため、正しいリーダーシップが何か?について語るのは難しいところです。ですが、逆に間違ったリーダーシップについては「型」があると思っています。あくまで私の個人的な感想ではありますが、この「型」の一部について触れておきたいと思います。

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〇 一の型「頭ごなし!」
リーダーたるもの威厳を示さなければ!という気持ちが先行するあまり、自身の考えを強引に押し付けてしまうタイプです。このタイプはメンバの意見をあまり聞かない、または受け入れようとしない人です。せっかくチームで行動しているのに、リーダー独りの考え方に固執するのは勿体ないことです。
また、正しいかどうかに関わらず、意見が通らないというのが定着してしまうと、パフォーマンスの低下を招きます。

〇 二の型「無関心!」
リーダーが会社、プロジェクト、メンバなどに興味や関心を持っていないため、関わり方が薄くなってしまい、傍から見ると仕事をしていないように見えるタイプです。もちろん本人はそんなつもりは無く、仕事もしているし興味関心を持っているつもりです。このタイプの厄介なことは、自分自身で気付きにくいことと、メンバが指摘を出しにくいことです。
この状態ではリーダーシップを発揮することは極めて難しく、名前だけのリーダーとして立っているため存在が無意味となります。

〇 三の型「人任せ!」
発生したプロジェクト、指示されたタスクなどについて、適切な情報共有もせずに丸投げしてしまうタイプで、口癖は「あれやっといて」「とりあえず進めといて」です。本来リーダーがメンバに提示するべきことをせず、適当にタスクを与えてしまうため、メンバはイチから情報を整理していかなくてはなりません。。当然、業務効率は落ちてしまい、場合によってはお客様や関係するステークホルダにまで迷惑をかけてしまうことになります。
このタイプは成功すると自分の成果とし、失敗するとメンバのせいにする傾向があります。

〇 四の型「いいなり!」
自分に自信が無いあまり、メンバの話全てを承認してしまうイエスマンなタイプです。もはやリーダーと呼んでよいのか解りません。リーダーに業務スキルは必須ではありませんが、リーダーシップを発揮できていない場合、ただの何もできない人に成り下がってしまいます。一度この負のループに陥ってしまうと、どんどん自信を無くしていき、メンバからの当たりも強くなることから、言いなりになってしまうのかと思います。
経験が浅いうちは仕方ないところもあります。

〇 五の型「マネージャだから!」
自分はマネージャでありリーダーではないと主張するタイプ。マネジメントには人的資源マネジメントが含まれていて、その要素の一つとしてリーダーシップがあります。社長、部長などの役職をはじめ会社組織には様々なマネジメントの役割があり、それら全てにリーダーシップは含まれます。
リーダーシップを発揮せずとも会社組織をまわすことは可能ですが、そこまでの努力があってこその環境であり、何も努力することなくその環境を手に入れられるわけではないです。

どれもリーダーとしては失格です。上記の例は極端ではありますが、自分自身の振る舞いを常に監視して、このような傾向が見えたら是正していくと良いと思います。


◆リーダーシップを発揮するうえで意識したいこと

私がリーダーシップを発揮するために行っていることがあるので、その一部を紹介したいと思います。

0.心理学を勉強する

これは前提となりますが、心理学を勉強しておくとリーダーシップを発揮する助けになります。私は学生時代から心理学に興味があり、心理学に関する書籍を読んでおりました、当時はただ好きだからという理由でしたが、気付けばその知識がリーダーシップに役立っていました。
リーダーとは、メンバの心を掴むことでチームのパフォーマンスを上げなくてはいけません。人間の心理がどのように働くのか?は知っておくに越したことはありません。
色々な人と接してきた経験から、今では(何となくですが)読心術も身についており、それが調整役として非常に有利に働いています。


1.感情に訴えかけない

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メンバに指示を出す際に「もし良ければ〇〇をやっておいて欲しい」など、相手の感情に訴えかけてはいけない。とマネジメントに関するいくつかの書籍で読みました。実はこれは私の苦手とすることでもあるので、特に意識するようにしています。
マネジメントをしていると、残業しないと目標を達成することが出来ない場合や、休日出勤してでも直ぐにやっておいて欲しいことなど、どうしてもメンバに大きな負担をかけなくてはいけない場面があります。マネジメントとしては、そのようなリスクを回避するべく計画を立てておくべきですが、もし回避することが出来ない場合は、チームとしてそれを負担しなくてはいけません。申し訳なさそうな表情で感情に訴えかけることは簡単ですが、やるか/やらないかをメンバに判断させていることになり、考え方によっては責任転嫁していることにもなりかねません。また、日ごろの関係性が正しく行えていれば、負担がかかる=チームに貢献できるとプラスに考えてもらえるので、リーダーとしてしっかりと指示を出す方が良いです。


2.間違った行動をとらないよう制約を与える

この記事の「◆ポイント5:「信頼できる」を作る」でも書きましたが、メンバを信頼して仕事を任せる場合には、必ず仕事の計画を立ててから渡します。背景・目的・ゴール・前提・制約、これらを設定することで、目指すべき方向性と進むべき大方針を示します
終着点となる座標を示さないといけないので、私は解らないことがあれば、自分自身がハラオチするまで情報を掘り出すようにしています。
メンバはこの計画を確認することで、行動するための基準として自己判断できるようになります。全て指示を出さないと動けないチームより、個々に考えて能動的に動けるチームの方がパフォーマンスは圧倒的に良いです。また、リーダーとしての作業ボリュームも緩和され、マネジメントに集中するための時間を確保できます。(あるいはリーダー自身も作業をこなすことが出来るようになります)


3.行動を制限しない(行動を阻害しない)

行動の指針を与えたうえで能動的なチームを作ると、メンバから様々な意見が挙がったり、思いもよらぬ行動をとることがあります。その意見や行動を出来る限り尊重することで、更にパフォーマンスが上がっていく可能性があります。
ただし、理屈が正しいかどうか、計画に沿っているかどうかなどを考慮して振る舞いを変える必要はあります。

〇 理屈が正しくて、計画に沿っている
見守りましょう。ただし、気が付いたら道から外れていた。ということもあり得るため、動向を見ておくか、言語化してルールなどを定義できると良いです。

〇 理屈は正しいが、計画には沿っていない
計画の変更が可能であれば、計画へのリファインを検討することで、より正しい計画になります。計画の変更が出来なければ、その旨を伝えたうえで諦める決断をします。

〇 何だか納得しきれないが、計画には沿っている
リーダー的にはハラオチしきれなくても、計画には沿っている場合は、メンバの意向を尊重します。例えば、メンバからの提案が効率的じゃない場合でも、本人がそれを最善だと判断したのであれば、その方法論を承認してあげます。

〇 納得できないし、計画にも沿っていない
通常は即決で否定はせず、理解できるまで話し合います。また、懸念されることを伝えて正しい方向性を見つけ出します。その結果として否認することもありますが、その際にそのメンバが納得している状態であるのが理想的です。



4.情報をオープンにする

リーダーシップは勝手に発揮される場合もあります。例えば、自分では当たり前のように振舞っていることが、メンバからの信頼を集めることもあります。情報は常にオープンにして、自分の考え方、自分のアクション、他者との調整結果、ナレッジなどが自然とメンバから見えるようにしておきます。
これにより、メンバの助けになるような情報がシームレスに共有されたり、自分が困っていることをメンバが助けてくれたり、チームとしてのパフォーマンスが大きく向上することなります。私は常にオープンな情報共有を行っていたので、かなりの恩恵を受けることが出来ていました。
このような文化はチーム全体に根付かせることで、リーダーの指示を介せずに円滑な連携を可能にします。また、情報を持っているということは、それぞれが考えて行動するための土台となるため、能動的に行動することを促進するためにも役立ちます。
具体的には以下のようなことを行います。

〇 ConfluenceやGoogleドキュメント等でアジェンダ作成及び議事録作成
打ち合わせ前にアジェンダを作成して共有し、更に打ち合わせ中も皆で議事録を作成していきます。共同編集が可能なサービスを利用するのがベストです。

〇 Slackなどのチャットツールで共有チャンネルを使う
DMでの連絡は基本的に使いません。チャンネルもプライベート設定にはせず、オープンな状態にしておきます。ただし、チャットツールは話が混在することも多いので、記録として残すための用途には使いません。

〇 Confluenceに日報やナレッジを書き残す
自分がどのような考え方を持って行動しているのか、自分がどのように業務にあたっているかなどを書き残していきます。全てを残すのは容易ではありませんが、自分も忘れがちなことを備忘録として残したり、日報を書いてタスクの整理や振り返りをしやすくします。
日報は朝の業務開始前に作業予定を作成し、夕方に記録を残す方法が良かったです。

最新の情報を拾いやすい透明度の高い組織は、メンバが組織のことを考えて行動できるようになり、その姿勢が仕事へのやりがいも生み出していきます。


5.頻繁に会話する(チャットでのホウレンソウで長文が増えたら注意)

「情報をオープンにする」にも関係していますが、ただ情報を共有するだけでなく、雑談なども含め積極的な交流を行っておきます。一日に数回しかコミュニケーションが取れないと、段々と交流が億劫になってしまったり、話しかけづらい雰囲気になっていくものです。朝会や定例などの決まった機会だけでなく、日ごろから会話し合えるような環境にしておけると良いです。

これは別の部署であった話ですが、チャットでのコミュニケーションを覗いたところ、とても堅くて長ったらしい文章でやりとりをしていました、普段からコミュニケーションが取れていないため、一度に伝えなくてはいけない情報が多く、またそれが伝わるようにしないといけないため、書く側も読む側もとても大変そうな内容になっていました。更にそれをチャットでのみ伝えているので、後から情報を追跡することが出来なくなっていました。

常にコミュニケーションが取れる心理的な敷居を下げること、難しく表現しなくても内容が伝わるように情報を流通させること、ついでに後からでも情報を追跡できるようにしておくこと、これらはリーダーシップを発揮するために重要なポイントとなります。
Microsoft Teams、Slackなどで気軽にコミュニケーションを取れるような場所を作っておいたり、リモートワークにおいてもRemoのようなツールで視覚的に存在を認識できるようにすると良いです。

※Remoは使い勝手は良いですが高額なのが残念です


6.感情的になって怒らない

これは多くを語る必要はないですね。感情的になってしまう人はリーダーシップからほど遠い存在です。
感情的になってしまう原因はいくつかあります。

〇 性格の問題
〇 日頃から根回しが出来ていない
〇 常に自分が正しいと思っている
〇 相手の意見を尊重できない
〇 コミュニケーションが不足している
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〇 相手の問題

そこはやはり人間、時には感情的になることはあると思います。ただ、リーダーシップを発揮するうえでは、メンバに対して感情的になって叱責するようなことがあると、信頼を損ねることになり得るため、これを出来る限り避けるためにもコミュニケーションをとって常に意識を揃えておきたいです。

あくまでも経験からの個人的な見解ですが、情報がクローズドな人ほど感情的になる傾向が強いように思います。相手の考えを尊重せず、自分の情報も提供しないため、軋轢を生んでしまうのではないでしょうか。


7.課題、問題、懸念はチーム全体のものとして捉える

プロジェクトでは、業務内容に関する問題、人間関係の問題、環境要因による問題など様々なことが起こります。こういった問題が発生した際、その全てをチーム全体の問題や課題として捉え、解決策を考える必要があります。仮にメンバが個人的な失敗をおかしていたとしても、その根本原因は何か?どうすれば問題が起こらなかったか?再発しないためにはどのようにすべきか?などを洗い出していきます。
定期的にチーム全員で振り返りを行う習慣があると、自然と課題の確認や解決の流れが出来上がります。

チーム全体での課題として考えるので、誰かの失敗であっても個人を責めるようなことは避けたいです。誰か一人の責任として解決策を考えるよりも、チーム全体の問題として解決策を考えた方が改善につながりやすく、また、全体で問題に対処していくという信頼関係も維持することが出来ます。ただし、あくまで同じ失敗を繰り返さないように気を付けたり、問題が最小限な状態で対応していく必要があり、問題が発覚せずに肥大化しないよう常に相談し合えるような関係性を作っておかなくてはいけません。
チーム全体の課題として考えること、それを全員で対処していくこと、振り返りなどの実施によりチームの文化として根付かせられると良いです。


8.チームに問題があれば自身のものとして捉える

前項と似ていますが、チームで発生した問題を常に自分の問題として捉えることで、チームの問題に対する関心を高めることができ、その姿勢をチームに示すことで信頼を得ることが出来ます。
想像してみてください。問題が発生しても関心の無いリーダーや、問題をメンバの責任にするリーダーは信頼されるでしょうか?

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チームの問題に一番に向き合い、それをチームとして解決するための方法を一番に考えることで、メンバからの信頼を獲得することが出来ます。
なお、一番に考えると言っても、リーダーが全てを考えて解決するということではなく、あくまで問題解決はチーム全体で行えると良いです。


9.会社組織の決定を尊重しメンバに浸透させる

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これはマネジメントとして非常に重要なことです。出来ればメンバから異論が出ないように根回ししておきたいところですが、たとえ会社組織の意向に対してメンバが異論を唱えたとしても、その意向に従ってもらえるようコントロールする必要があります。また、渋々従ってもらうのではなく、その意向を理解し目的を達成するための努力をしてもらわなくてはいけません。
「メンバが文句を言ったから」「メンバが言うことをきかない」など、メンバの異論をそのまま会社組織に投げてしまってはいけません。もしその異論が正しくて会社組織の決定に対して意見を出したい場合、その責任はチームとして、リーダーとして責任を負って行うべきです。
なお、会社組織の方針に従ってもらう際に正しく理解してもらうためには、なぜその決定となったのか?その目的は何か?など、背景も含めて説明が出来ると良いです。そして、その内容に自分自身もハラオチしている必要があります。或いは自分自身も納得していない状態で説得しなくてはいけないこともあるかもしれません。

会社組織の方針というのは経営理論に基づくものですが、特に若いメンバには理解を得られないことが多いです。また、日ごろから経営方針が語られていない場合は、突然降って湧いたように方針変更を受けることになるため、やはり理解を得られないことがあります。その時には、「これが決定だから」と一蹴することはせず、メンバの意見をしっかりと聞き、話し合うことで理解してもらうようにしています。


10.メンバの意思を尊重し会社組織に調整をかける

前項と矛盾しているように見えますがそうではないです。会社組織の方針は前提として存在しますが、その全てが正しいとは限りません。また、ボトムアップの文化を活かすことで、新しいサービスが生まれたり、社内業務が改善したりと良いこともあります。メンバが個々に持つ能力や気付きを活かすことが会社組織に大きな恩恵をもたらすこともあります。
リーダーとして大事なのは、そのボトムアップの文化(発言できる環境)を育てること、会社組織にとってのメリットを考えられる文化を育てること、それらを会社組織に対して提言できる文化を育てることです。
メンバから良い提案や意見があれば、積極的に耳を傾け、その内容を提案できる形に整えて会社組織に投げかけます。もし良い結果に終われば、提案を出してくれたメンバを称え、もし失敗に終われば自身の責任として反省点を次に活かしていく。それがリーダーとしての成長に大きく貢献していきます。
会社組織を活かし、メンバを活かし、そして自分自身の成長に繋げていく。チームのマネジメントを担うリーダーとしての大切な要素だと思います。


◆さいごに

長くなってしまったのでまとめは書きません。まだリーダーシップを発揮するうえでの大事な要素はありますが、これだけでも十分に長いのでここまでにしたいと思います。

この内容が若いリーダー、悩みをもつリーダーなどの参考になれば幸いです。

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kinzen
技術+マネジメントが主なスキルです。