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「御伽噺」月にいたころの記憶


昔、私が月で暮していたころのお話し。

そこで私は「色のない」生活をしていた。
地球では色のない生活を灰色で表現することが多い。
色がないのに灰色で表現する、というのは考えてみると面白い。

私の月での色のない生活は青と白が複雑に混じり合ったものであった。

これは抽象的な表現の範囲を超えたもので、というのも、いつも視界の端にペンキをぶちまけたように、青と白の飛沫がチラつくのだった。


私はその視界を嫌だと思っていた。
他の人々にはない視界だから。
私は「普通」になりたかった。
みんなと同じ視界になりたかった。

みんなと違う視界を持つことを隠して、みんなと同じフリをしていた。
それで友達といえるような人たちもいたが、フリをしてできた友達故に心の奥からの繋がりを感じることができなかった。

友達がいるのに孤独を感じる。

その視界を持つことを恥じずに主張していける強さを持てるなら、本当に私が見ているものを伝えられるなら、そうでなければ本当の繋がりは手に入れられないと感じていた。

不思議なことだが、そのために私はイケメンになりたかった。
人前で自身の見ているものを発信するには整った容姿がないとダメだと感じていたのかもしれない。

容姿の醜美のみで繋がった関係など結局はフリをしてできた友達と大して変わらないだろうに。


私は地球を見るのが好きだった。

(あの星に行きたい)
(あの星でイケメンに生まれて、本当の繋がりを手にするんだ)
(そのためだったら…)

地球に行く方法を私は知っていた。
とある部屋に人1人程のサイズのカプセルがズラリと並べられている。
そのカプセルでネムルのだ。
私が理想としているカプセルは「6番目」
けれどその部屋へ入る権限を私は持っていない。

その部屋を奥に進んでいくと死体を処理するための場所に繋がる。
ずた袋に死体を入れて担当者がそこへ運んでいく。

つまり、死体のフリをしてずた袋に詰められることに成功すれば部屋に入り込むことができる。

私が地球に行きたいと伝えると友人達は応援してくれた。
地球に行くのを手伝ってくれた。

友人達は何処かで私の内側に問題といえるものがあることを感じていたのだろう。
地球に行くことがその問題と向き合おうとしているのだと解釈してくれたのかもしれない。

なんということはない彼ら、彼女らは最初から本当の友達だったのだろう。
私が遠くばかり見ていて気がつかなかっただけなのだ。

しかし、その頃には私は目的と手段があべこべになっていた。
本当の繋がりを求めて地球へ行こうとしていたのに、いつのまにか地球に行くために友達との別れを選んでいた。

月では地球と同じように学校に通っていた。
私は教室で急に苦しみ倒れる演技をした。
友人達がその演技に乗っかってくれた。

白装束で目元以外を覆った担当者がやってきて私はずた袋に入れられた。

当たり前だがカプセルでネムルためにはそのずた袋から出ないといけない。
つまり、白装束の担当者に別の世界へ移動していただかないといけない。
私は鈍器を身に隠していた。

部屋に近づく。
心臓がドクンッドクンッとこれまで経験のない鼓動を打つ。
青と白が視界に広がり始める。
いつもよりも激しく。
(なんでこんな時に…)
部屋に入る。
鈍器を握る。
(あそこだ…。やるなら今、ここでだ)
青と白が視界を侵蝕し始める。

入口から右が奇数番の列、左が偶数番。左の3番目が6。

6番目、6番目、666
心臓が脈打つ、
6青と白が広がる、覆う
6 6青ドクンッドクンッドクン(やれ)
666
白奇数番の3(今だ)
ドクンッドクンッ(ココでヤルんだ)
6鈍器青白青白白青66青白青白青白青白青白青白青白青白ヤレ青白青白青白ドクン青白青白青白青白青白6青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白ドクン青白青白ヤレ青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白66青白青白青白青白ヤル青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白6青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白6青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青白青
青白…………。


視界が完全に覆われた。

そこで記憶は終わっている。

私が今地球で暮しているということはあの時私はヤッタのだろう。

月での友達は地球でも何人か縁があった。
どれくらいかはわからないけど、この星に生きる人々の一定数は月から来ている。

このお話もきっといつか繋がる。

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