お酒飲むと大人になった気になれるから私はまだ子供
私はお酒が少し好きだ。「少し」と言ったのは、そこまで強くないからだ。体のコンディションが悪かったり、胃に何も入っていなかったりする状態だと、すぐアルコールが回り、気持ち悪くなってしまう。だから、いつも一口ずつゆっくり飲む。
先日、卒論の中間発表会があり、その後のゼミの懇親会にも出席した。駅前のイタリアン。せっかく発表を終えたあとで、しかも会費の2000円を払えばそれ以上の額は先生が払ってくれるから、気持ちよく飲めるチャンスだったけれど、生憎私は発表当日の午前2時半まで準備をしており、寝たのは4時前だったので、完全に寝不足だった。すごくすごく迷って、でも昔疲れている時にお酒飲んで吐いたこともあったから、その日飲むのはやめることにした。
料理はとってもおいしかった。お通しの生ハムに、サクサクのフリット、イタリア留学経験のある先生をも唸らせるマルゲリータやパスタなど、おいしいと思うと同時に「お酒飲みたい…」という気持ちが沸き上がってくる。でも今はここでの会話を楽しみたいし、粗相をするわけにはいかないという自戒の念が勝ち、最後までアルコールは飲まなかった。
会が終わり、その日近くでアルバイトの食事会に出席していた彼氏に連絡すると、偶然彼氏も同じタイミングで会が終わったらしい。「食事会中ずっと気を遣っていたから変に疲れた、一杯飲み直して帰る」と言うので、私もそれに乗っかることにした。飲んでる途中に気持ち悪くなる予感がしたら、残りは彼氏に飲んでもらえばいいし(よくない)、そもそもたくさん食べたから大丈夫な気がする!と少々強気になっていた。
そこで入ったのは彼氏が以前一人で行ったことのあるバー。お酒が飲めないバーテンの方が一人で切り盛りしているらしい。私はだいたいジントニックとかスプモーニとかハイボールとか炭酸系のお酒を飲むのだけど、メニューを繰っていると山崎の梅酒という文字が目に入り、気になってそれのロックを頼んだ。あとから近所のファミマのお酒コーナーを見たら山崎の梅酒が売っていたから、そんなに珍しいものではないのかもしれない。
実際に口にしてみると、とってもおいしかった。そんなに良い梅酒を飲んだことがないし最近梅酒を飲んでいなかったから他と比べてどうこう、というのは言えないけれど、あっさりとしすぎていなくて、私は好きな味。
お酒をちびちび飲みながら、中間発表がどうだった、という話や懇親会の話をしたり、彼の食事会の話を聞いたりした。ゼミの人たちと違って気心知れた相手との会話はとても楽だしリラックスできる。私はこの時間のために懇親会でお酒を我慢していたのかもな、と思った。
幸いアルコールで体調が変化することもなく、いい気分のままバーを後にした。このバーはまた一人で行くかもしれない。私はたまに一人でバーに行くけれど、一人でお店を開拓するほどの勇気はないので、彼氏と行ったところに再び一人で行くようにしているのだ。
この日は、卒論の中間発表会を終えて一つ肩の荷が下りたし、思いがけず彼氏と良い時間を過ごせたので、とてもいい日になった。お酒を飲みたいと思うようになったり、お酒を介して良い時間を過ごせるようになってきていて、少しだけ大人になった気分。
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