きんたろ@プライベートライター

ストレス発散の為に、ここで小説をちまちま書こうと思っております。

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最近の記事

高橋

暑さで目が覚めた。 エアコンを見ると沈黙している。記憶にはないが、多分夜中に寒くなって、自分で消したのだろう。よくあることだ。 窓の外はすでにかなり明るくなっていた。カーテンは基本的に閉めない。 再度エアコンを点け、iPhoneのボタンを押し時間を確認する。 5時前だ。さすがに起きるには早すぎるが、子供の頃から一旦目が覚めると、二度寝ができないタチなので、とりあえずベッドから体を起こした。 起こしたところで、仕事に行く準備をするには早すぎる。枕元のリモコンを手に取り、テレ

    • 珈琲

      夫が死んだ。心筋梗塞だった。 夫が勤める会社から連絡があり、病院に着いたときには、すでに息を引き取っていた。 つまらない男だった。 物静かで、真面目で、酒は飲めず、ギャンブルもしない。付き合いで麻雀くらいはしていたようだが、ほんとに付き合い程度だった。 タバコも一人目が出来た時にやめ、会社と家の往復の毎日。読書程度の趣味しかなく、多分、浮気もしたことがない。セックスも、普通だった。 よく、死に顔が寝ているようだ。と言われるが、夫の亡骸はまさにその通りだった。もう少しで定

      • 翠とみどり

        その日は朝から嫌な予感がしていた。 降りそうで、降らない。 朝からそんな鬱陶しい天気だったし、自分にしては珍しく生理前に下腹部が痛くて、目が覚めた瞬間から気が、体が重かった。 だからと言って、仕事が休みになるわけではない。それを言い訳に休む同僚もいないわけではないが、残念ながら仕事に支障があるほどの辛さにはならない。 月に一回はこういう体質であることに感謝し、私はそういった人よりラッキーだと思うことにしている。 そう思うことで自分を奮い立たせ、気怠い体をベッドから旅立た