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介護認定調査 vol.2(実施手順)

kintaです。(Twitter)

前回は介護認定調査ってどういうもの

に、触れました。

今回は調査の仕方(手順)について書いてみます。

まずは

✔どういう項目があるか

ざっくり基本的な事だけ書きます。

能力の有無

簡単です。できるできないか。

定められた動作が行えるかどうかです。

例えば規定の位置まで腕が上がるかとか、足が上がるかとか、立てるか、座れるか等々のそれを行う能力があるかどうかです。

ただし注意点。

調査になると突然張り切る方は沢山います。そういう方が多い事は踏まえて、直近1週間で本人状態から本来であろう日常の状況を注視します。目の前でできるから「できる」ではありません。

でも問題があって。根拠なく、

「今日はできますけど普段は出来ないんですよ💦」

これは日常の状況ではないです。

心臓が悪い、息切れが酷い、膝腰などに強い痛みが慢性的にある等々、具体的な理由が無ければ日常の状況とは取りません。

介助の必要性

本来はどういう介助が望ましいかです。

今現在で実際に手を掛けている介助の部分があると思いますがそれは確かに現状での手間です。しかしここでは調査員が本人の状態から本来こうあるのが望ましい介助量を根拠を以て見定めます。

ここで振り幅が発生します。

本人の病気、状態、家族の状況、環境等々を調査員が具体的にイメージできないと選択を誤ります。つまり調査員次第になりやすい部分でもあるということとも言えてしまいます。

あるかないか

難しく捉えられがちですが、行動症状があるかどうかです。

具体的に言えば、徘徊があるか、1人で家に戻れないことがあるか、認知症のいわゆる周辺症状(被害的、作話、感情不安定、昼夜逆転、同じ話、大声を出す、介護に抵抗、帰宅願望から落ち着かない、1人で出ていってしまう、収集癖、物など壊さないか、独り言、自分勝手な行動、話がまとまらない)です。

ここで酷い物忘れを除いたのは、これについては特に注意が必要だからです。酷い物忘れはあっても手間に感じていない場合該当せずチェックは入りません

他にも集団不適応があるかないか、継続的な特別な医療管理(酸素、中心静脈、透析、ストマ、酸素、マスク、気管切開、ペインコントロール、経管、モニター、褥瘡、カテーテル管理)が医療従事者によってあるかないかもこの括りに入ります。

身体の生活自立度と認知症の起因する生活自立度

今の身体状態は日常生活を送る上でどのランク(自立、J1、J2、A1、A2、B1、B2、C1、C2)か。

今の認知症状は日常生活を送る上でどのランク(自立、Ⅰ、Ⅱa、Ⅱb、Ⅲa、Ⅲb、Ⅳ、M)か。

調査員の私見(勿論定義は踏まえつつですが)がある程度許されるのはこの2項目(7-1、7-2)のみです。

ここで私見と言っているのは、最後に全て聴取した上で調査員が専門的、総合的に見てどのランクに属しているかを決めていい部分だからです。

長くなってしまった。

では僕が普段からやる手順を少し紹介します。

✔手順

・氏名、年齢、日付、住所から始めて躓いたら基本聴き取り重視

結論みたいな引用欄ですが半分結論です。

3群(意識確認)から始める

当然なんですがここで聞くのは

・名前
・生年月日、年齢
・自宅かどうか、住所は?
・今日(調査日)は何月何日?(詰まったら何月かだけ)と季節

ここで留めます。

内容がキッチリしていればどういう流れでも返答できます。最後の4群だけ注意すればいいでしょう。

日課の理解や短期記憶は後回しです。

1群の基本動作に入る前に概況聴取

体を動かしてもらうとなれば当然体調、痛みはないかなど聞きますね?

だからこの流れの前に病気や怪我、既往の手術等を確認します。そしてその流れのまま同居家族構成、近くに支援者はいるか、現在のサービス、この1年や直近で大きく状態が変わるような出来事があったかなどの概況欄の聴取を先に。ある程度の全体像を聞き出しておくことでその後の動作などの想定がつきます

これらを確認してイメージを作った所で動作確認に入ります。

意識、能力の確認後は「適切な介助」を掘り下げる(2群)

3群の抜粋した確認時に認知症の有無が垣間見えたらこの後は順に聴き取りの流れです。

認知症が疑われた場合にはこの時もう当人の傍からは席を外します

外す理由はお分かりだと思いますが何を聞いても「できる」「日常とはかけ離れた返答をする」からです。同席してもらっての確認には信憑性がありません。よって時間を無駄に浪費します。

薬や金銭の管理能力等の確認

この5群は適切さ、能力、有無と全ジャンルが入り交じる項目。

この部分で認知症日常生活自立度がⅠ以下なのかⅡa以上なのか確認作業です。

本当に物忘れ症状が強ければ管理そのものができないために介助される。

一方で1人では不安だったり動けなくて手伝って貰う場合の介助は管理能力が足りないのとはちょっと違う。

物忘れの前者はⅡ以上、身体的に困難ならⅠ以下。

認知症周辺症状について本人のいない場所で聞く(4群)

これを最後に持ってくるのは1つずつ定義を説明して回答者に理解して貰いながら定義に沿った返答を具体的に貰うため。

これで終わりではなく。

最終的な調査員のイメージした総括を行う

確かに一連を聴取した。

でもその受け止めた内容がケースの抱える課題、手間のかかる部分に焦点が合っていなかったら?

現状の手間を調べてるのにそれが反映されない調査っておかしいでしょ?

だから僕は最後に

「この事例は今こういう生活をしているがこういう所に困っていてどんなサービスを使いながら過ごしているけれど、それでも尚こういう手間があり介護者の伝えたい事の本質ははこういう事で良かったですか?」

必ずこれをやります。間違えたらその方々の何年間もが状態に合わない認定で過ぎてしまうかもしれないから。

ここまでやって、一連です。

✔まとめ

今回は調査がどのように始まってどう展開しつつ短い時間で臨機応変に核心をついた返答を引き出せるかが鍵なのでその手順を参考までに書きました。

ちなみにドヤ!って事ではないですがここまでやると多くのお宅でこう言われます。

「どうして初めて会って少し見ただけでそんなに分かってしまうんですか!?」
「話したい、伝えたいと思ってた事を先にきっかけ作ってくれて助かりました。自分からは言い出せなかったので。」

どちらも本来は当然の話で。

0から聞き始めて掘り下げて限りなく8、9に近い所までひきだす。10は無理だ。理由は初見であり普段を知らないことや多くのケースで環境による弊害を強く訴えられることもある。

僕らが主に聴取するのはあくまでも手間の部分であって直接的な現実がメイン周辺、環境要因は概況に書くためイメージ像としては役に立ってもパンチが弱い

これらのことを踏まえて調査を行う側は統計的にある話を例に出してイメージを共有しつつ、必要であるはずの手間を根拠(定義)に基づいて選択、特記には具体像が浮かぶよう記載する。

ここから先は書き方でお披露目しますが、先立って書き方のポイントを触りだけ。

①難しい言葉は避ける
②文字数は削る
③どこを話として推すストーリーに仕上げるか強弱を付ける

繰り返しますが、もはやテキストなど読んでません(確認する事はあるけど)。

強調したいポイントを際立たせるための工夫、バランスが必要だと思ってます。

審査会で審査員先生方が自然とそこには目が向くようなバランスで。

慣れれば30分で書けますよ。

長くなっちゃった。

けど、調査で聴取するってこういうことで、そこで情報拾えないなら強弱も推すポイントも絞りこめない。

文章力、物言いますよ。

どこを読んで知って欲しいのか

これを的確に表現するためにも情報は集める。これを要約してわかるように書く。

次は具体的にどう書くかを僕の手順、癖で表現しようと思います。

最後まで読んでくださった方、お疲れ様です。

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