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福祉人材と介護人材について整理してみた①

福祉・介護人材ってなんでそもそも「・」で分けてるの?

よく「福祉・介護人材確保」という文言を国の資料で見たりすると思うのですが、「福祉人材」と「介護人材」って違うの?一緒なの?なんでわざわざ「福祉”・”介護人材」って書いてるの?と思ったことありませんか?そんな素朴な疑問を整理してみます。

福祉ってなに?

福祉って何?というそもそも論ですが、ハッキリ言って共通定義はありません(もしあったら教えてください)。

教科書である、中央法規 新版社会福祉士養成講座1『社会福祉原論』にもハッキリ書いてないんですね。そもそも社会福祉とは何かは、理念や原理原則、歴史、政策制度、財源、援助方法、資格、範囲などなど、多様な論点から考えられるべきだ。みたいなことは延々論じられているのですが、定義がバシッとないじゃん(○`ε´○) ・・・まぁ、それだけ動的なものだということですね。

あれ?社会福祉?福祉じゃないの?

そう、福祉って、社会福祉、児童福祉、老人福祉、障害者福祉など色々ありますよね。なので僕なりの(結局解釈になっちゃうんですけど)福祉の定義は下記です。

福祉=「幸せを保障する仕組み」

保障っていうのは、人権とかみたいに人格や権利を保護して護るみたいな熟語ですね。護られる主体は全人類?ここではとりあえず「国民」にしておきましょう。じゃぁ護るのは?ここでは仮に「国」にしておきましょう。

なので児童福祉は「(国が)児童の幸せを保障する仕組み」だし、老人福祉は「(国が)老人の幸せを保障する仕組み」という感じです。

じゃぁ『社会福祉』は?という疑問が・・・

で、さっきの『社会福祉原論』のP56に「社会福祉援助対象の意味」というページがあります。ここでは対象者について書いてあるんですね。で一般的な福祉の対象者っていうと、老人とか子供とか障害者とか女性とか低所得者とかという”社会的弱者”というイメージです。でもここでは、次のように書いてます。

今日の社会福祉援助の「対象」は、福祉的援助の対象になりやすい人々だけを指すのではない。現代の社会福祉は、一般市民の日常生活を支える重要な仕組みの一部となっているのであり、これに応じて「対象」の意味も変化することになる。

とあります。これ10年前の教科書ですが、2020年現在はよりこの意味が深まって、実際、福祉は一部の特別な可哀想な人のためのものではなくて、誰もが日常生活を幸せに送るための仕組みになってきていることを感じますよね。そして、それを保障するのも、国や専門職といった公的なものだけでなく、民間や地域住民、当事者など多様な主体が色々と連携したり、枠組を超えて協働、連帯していますよね。先の教科書(P143)では今後の民間福祉の流れは、多様な主体、地域、外国企業などと連携・連動していくと占っています。

だから、現代的な福祉の(僕の解釈)定義には「日常生活」と「連帯」が入って次のような感じになります。

(現代的)福祉=「多様な連帯によって、日常生活を送る幸せを保障する仕組み」

ということでいくと社会福祉は「多様な連帯によって、社会に生きる人々が日常生活を送る幸せを保障する仕組み」ですな。

※話は逸れますが、社会福祉士のカリキュラムってH21年4月からスタートした新カリキュラムになった時に「社会福祉原論」て科目消えたんですね〜。そもそも論が科目からなくなるってど〜よ!?介護福祉士にも「介護福祉原論」とかないしね〜{{{p(●`□´●)q}}}


で、福祉人材って?

じゃぁ福祉人材っていうのは僕の解釈でいうと「多様な連帯によって、日常生活を送る幸せを保障する仕組みを”専門的に職業として担う人材”」なのですが、僕の解釈じゃなくて根拠になりそうなものを見てみましょう。


福祉人材と介護人材の同じ位置付けと異なる位置付け

皆さんは総務省の「日本標準産業分類」をご存知ですか。その名の通り日本の産業を分類したものです。この中で「大分類P 医療、福祉」「中分類85 社会保険・社会福祉・介護事業」の中の小分類の中の細分類に福祉事務所とか児童福祉事業とか老人福祉・介護事業とかがあるんですね。なので、よく言われる究極のサービス業とか接客業というのは、別分類になると思うので、違うんですね〜

ちなみに日本じゃなくて『国際標準産業分類(ISIC)第4次改定版(仮訳)』では「大分類 Q 保健衛生及び社会事業」「中分類87 居宅ケアサービス業」「中分類88 宿泊施設のない社会事業 」とかに、障害者や高齢者への事業が分類されています。その他の日本でいう社会福祉関係は「大分類 O
公務及び国防、強制社会保障事業」のこの強制社会保障事業?に入るのかなぁ???

なので、福祉事業も介護事業も、分類的には一緒で、逆にサービス業とか接客業とは異なる産業だということ

と・こ・ろ・が

総務省の「日本標準”職業”分類」という職業の分類では驚きの分類が!?

まず福祉人材は「大分類 B-専門的・技術的職業従事者」「中分類 16-社会福祉専門職業従事者」の中に福祉相談指導専門員とか”保育士”とかが分類されています。一方、介護人材は「大分類 E-サービス職業従事者」「中分類 36-介護サービス職業従事者」の中に介護職員(医療・福祉施設等と訪問介護従事者として位置付けられているんですね。(ちなみに「介護士」なる職業はありません 笑)

エェーーっ!!産業では、福祉と介護は一緒なのに、職業では、福祉人材と介護人材って別じゃんか!!!

この辺から、福祉人材と介護人材が似たようで、ちょっと別物という感じがしてきましたね。

介護職やヘルパーはサービス職業従事者なのに、保育士は社会福祉専門職業従事者なのですね〜。。。


長くなったので続きは次回。。。

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