ゆとりのある時間で想像力は培われる

父親が釣りが趣味だった。

私は幼く、当時の記憶もほぼないに等しいが、よく釣りにつれていかれた。わたしはできないから、ただ待っているだけだったのだが。

とにかく暇だったのを覚えている。なんで、こんなもの楽しんでいるのか子供心に理解できなかった。市内プールの監視員のバイトをしていた時と似ているかもしれない。(市内プール監視員のバイトは死ぬほど暇で生き地獄だった。)

ある日、車で父の帰りを待っていた。その時はゲームも持っておらず、暇つぶし道具がなく、ただ雲を見ていた。別に雲が好きだったとかじゃなく、見える範囲で動くものが雲しかなかったからである。

雲というのは見ていると、意外に早く動いたり、形を作っては崩れ去り、また別の形になったりと、意外と飽きさせない代物なんだと気が付いた。

最初は意味のない形だったのに、見ていると熊になったり、ハートになったり、面白かった。昔の人も暇すぎて、空をみていたら次第にてんびんやらの形に見えたのかもしれない。星は動かないし、見えるようになるにはさらなる精進が必要そうだが。

そして今度は、太陽が傾きはじめ、雲の後ろから後光が刺すようになり、雲がなんだか神様の形に見えてきたのである。「神様ってこうやってできたのかなぁ」なんて思いながら崩れる神様をぼーっと眺めていた。

もしかしたら、父もこういう想像力を高めたり、忙しい毎日の中、自分と向き合う時間をつくったり、釣りに色々な楽しみ方を見出していたのかもしれない。(純粋に魚がかかるのを楽しむのもあるだろうが)

小さいころに付いて行って、そんなに面白くもないイメージがついたままの釣りだったが、最近は少しやってみたくなった。

こどものころは、よく頭のなかで、適当なストーリーを考えるのが大好きだった。なのに、最近はてんで頭の中で物語は始まらなくなった。変わりに考えるのはもっと現実的なこと、計画的なことだ。大人になったということなのかもしれないが、私は小さいころのあの雲の無限の変身力を、無限に広がる想像力を忘れたくはない。

落ち着いたら自然の中で、ゆっくりと想像力を働かせるリハビリをしたい。

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出社2日目、昨日ほどは疲れていないが、なにか始める気力がまだない…。今日はとくに少し慌ただしかった。ほんとうは出来るんだろうけど、なかなか難しい…。

最近、時間が沢山あったから、考える時間ができ、少しやる気が戻ったというか、前よりはイキイキしていると思う。気持ちの話だけど。
やはり、目の前にあるものを片付けるだけじゃなく、考える時間をちゃんと作らないと、そのままになってしまうんだなぁ。


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