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勇者と魔王と聖女は生きたい【43】|連載小説
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「ほれ、終わったぞぅ」
コンコン、とマオが人一人が入るほどのドーム状の岩を叩く。
すると、ボロボロと端から岩が崩れ始め、中からティアが出てくる。もうすっかり土魔法を使いこなしていた。
「えぇ?もう終わったのですか?」
「そうだ。褒めたたえよ」
「さすが魔王様と勇者様!」
「うむうむ」
マオが鼻高々に胸を張った。
そう、遺跡について早々に中に入った僕たちは、最深部に到着すると巨大ドラゴンに襲われたのだ。
ティアはマオの指示によってすぐに土魔法で隠れ、僕は前線で剣、マオは後方で魔法で援護したのだが……マオの魔法ですぐに倒してしまった。僕、必要あった?と思う。
「さて、秘宝とはどんなものかのぅ」
ワクワクした様子のマオが、ドラゴンの後ろに隠されていた奥に通じる扉に手をかける。罠の心配をしたのだが、勢いよく扉を開いた。
「わぁ」
ティアが感嘆の声をあげる。思わず声を出してしまうのも分かるほど、神秘的な広間だった。
中央には石でできた女神像が。その周辺は大きな柱が5つと、円を描くように、どこからか水が落ちてくる。四方へと流れる水路も用意されているので、劣化による水の流れではなく、水ありきの造りになっているようだ。
その奥には大きな壁画があるようだが、女神像や水の流れでここからは全貌が伺えなかった。
「秘宝は……この女神像でしょうか?」
「特に価値があるようには見えないけど……」
瞳に宝石がハマっているわけでもない。
誰か高名な技術者が作った石像か、と聞かれると分からないが……持ち出せるサイズではないのでどうしようもない。
「では、あの壁画は?」
女神像と同じく、持ち出せるサイズではないので僕の中で興味は失せていたが、壁画が見える位置まで移動した。
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