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勇者と魔王と聖女は生きたい【91】|連載小説

「それって、つまりどういう……」

「本来なら、私たちが駆けつける前にイリヤ様は亡くなっていたということです。あの魔物たちによってなのか、それよりもずっと前なのかまでは分かりませんが……」

「そんな……」

イリヤ様が僕たちと同じ"擬い物"。
その事実に僕は言葉が見当たらなかった。

「ただ、その……イリヤ様の女神の預言、どこかで見た覚えがあって……」

「え?お城で見たとかじゃなくて?」

「いえ、確か最近だとは思うのですが……」

とはいえ、お城以外でイリヤ様と出会う可能性は皆無だ。
想像もできない話に頭が痛くなる。僕は早々に根を上げくなった。

「そ、そういえば、イリヤ様以外に女神の預言が見えない人がいたんだろう?誰だったんだ?」

「……あの場にいた傭兵のみなさんです」

「ようへいのみなさん?」

「傭兵のみなさん」

想像もしていなかった返答に、つい片言でオウム返しをしてしまう。
しかし、ティアは気分を害した風もなく、コクリと神妙に頷いた。

「な、何人?」

「全員です」

「ぜんいん」

ちょっと何を言ってるのかわからなかった。


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