勇者と魔王と聖女は生きたい【85】|連載小説
遺跡を見たい!遺跡まで案内して!と騒ぐエルに、僕とティアの二人がかりで止めに入る。この街から遺跡まで遠いこと、追手もある中で戻るのはリスクがあること、マオに聞かずに逆戻りはどうなのかということを説いた。
「そもそも、師匠の目的って何なの?」
「えっと……次の目的地はこの街、とは聞いたけど」
「ここに何かあるってこと?」
「さぁ?さらに次があるのかもしれないから、ここが最終目的地とは……」
「…………。しょうがないわね。師匠を待ちましょうか」
どうしてか呆れが勝り、遺跡へ行くことは一旦辞めたようだった。確かに目的地、目的などマオに頼りっきりだったことは申し訳ないが、そこまで呆れるほどだろうか?
「では、マオ様を待ちましょう……あら?」
ティアが何かを見つけて首を傾げる。
「イリヤ様?」
僕とエルもつられてイリヤ様を見ると、真っ青な顔になっていて驚いた。
「イリヤ様?だ、大丈夫ですか?」
「いえ、その話……確信はありませんが、すごく、その……」
まずい話なのでは?、と小さく呟かれた言葉は、辛うじて僕たちの耳に入った。
僕とティアは首を傾げ、エルは肩をすくめた。
「たぶん、私と同じ考えにたどり着いたんだろうけど、誰も確信を持てないことよ。妄想だと思って忘れた方がいいわ」
「……はい。そうします」
イリヤ様は神妙にコクリと頷く。
彼らがたどり着いた真実は、一体何なんだろうか?
僕はもう一度壁画を眺めてみたけれど、到底考えが及ばなかった。
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