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勇者と魔王と聖女は生きたい【24】|連載小説

常識を覆す話に、僕とティナも理解が追い付かなかった。
自然界の魔素が、生きている?

「精霊にはちゃんと個性がある。属性によっておおよそ性格が変わるな。例えば、火なら攻撃性が高い子が多いし、風なら自由な考えの子が多い。土はマイペース。土の精霊ほど話を聞いてくれやすい。まぁ、中にはちょっと変わった子もいる」

「……」

「また、精霊には力の強弱もある。力の強い精霊ほど、協力してもらうことは難しいな。プライドが高いというのもあるが、何故かよそよそしいから理由を聞きたいのだが……まぁ、それは追々だな」

「……」

僕とティアは、マオの話に聞き役に徹した。聞き役になるしかなかった。
例えばだ、そこらに転がる石ころに、実は心がある、と言われているようなものである。うそだろう?と半信半疑だ。

「ウェル、私たち魔族と、お前たち勇者パーティで魔法の威力が異なるのは不思議じゃなかったか?」

「あ、それはまぁ……」

魔王やその配下たちとの闘い。そして、僕が殺されかけた王城でエルの火の魔法を、「わん」という一吠えで主導権を奪って操っていたマオ。
魔族は人間よりも魔法の才能に優れているのだ、と思っていたのだが。

「お主らの魔法は精霊に対して命令をして、私たち魔族は精霊にお願いをしているからだ」

「命令形と、お願い?」

「人間たちの魔法は、精霊を無理矢理従わせておるということだ」

「それでマオ様は悪趣味って言ったのですね……」

ティアの言葉にマオが神妙に頷いた。

「さっきも言ったが、力の強い精霊は協力する、しないを自分の意思で決めれるが、弱い精霊は違う。お主たちは力の弱い精霊を奴隷のように扱っておるのだ」

「それは……」

想像すると悪趣味以外のなんでもなかった。

「人間は、そういう趣味なのかと思っていたのだが……」

「違います違います」

「まって、本当に違うから」



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