勇者と魔王と聖女は生きたい【72】|連載小説
「そもそもの前提が違う」
「前提?」
全員の視線が集中したマオ様は、当然ながら怯むことはなく、ピッと私に人差し指をさして言葉を続けました。
「ティアの魔素の適性は、本当に土だけか?」
「えっ」
予想外な言葉に、私は短く言葉を漏らし、ウェル様は慌てて立ち上がりました。
「いや、ちょっと待ってよ。ティアの魔素の適性を調べる時に僕は後ろにいたけど、確かに土属性を現す黄色に輝くだけだった!」
「そうですわ、調べていただいた方も土だけだ、と…」
「本当に?」
私の言葉が終わらないうちに、マオ様が言う。
「お前たちが私に説明したのだぞ?水晶は白い光から黄色の光に変わって消えたのだ、と」
「う、うん、確かにそうだけど…」
それが一体なんだと言うのだろう。
首を傾げる私とウェル様の横で、今度がエルが慌てた様子で立ち上がりました。
「は?ちょっと待って。白い光の後に黄色になったって言うの?」
「エル?」
「おかしいわ。水晶が輝くのは、5色!火が赤、水が青、土が黄、風が緑、雷が紫!それ以外に輝くはずがない!」
「え…」
「白に輝くなんて、聞いたこともない!
「そう。白は忘れられた魔素の一つ。ティアのように見逃されることも珍しくないから確かなことは言えんが、おそらく1000年に一人といないだろう」
私は、茫然とマオ様の顔を見ます。
とても冗談を言っているような雰囲気ではなかった。
「ティア、お主には土と光の適性があるということだ」
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