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勇者と魔王と聖女は生きたい【37】|連載小説

黒装束の男たちは合計5人。
高笑いした面倒な男の攻撃の合間に、4人が茶々を入れるようにナイフを投げたり剣で斬りかかったり、後ろから弓で射られたりする。
この中で実力が頭一つ分抜き出ているのが、面倒な男。他の4人は同等ほどだと僕は見極めた。

「さて」

「!?」

面倒な男と小競り合いの最中、力を抜く。
突然パワーバランスが崩れたことでたたらを踏んだ隙を狙い、今度は全力で押しのけた。

「まずは後衛!」

姿勢が整わないうちに、面倒な男の横を駆け抜けて弓とナイフを扱っていた二人に向かう。弓が飛んで来たが、右に頭を倒し最低限の動作で避ける。

「はや……ッ!」

「グアッ!」

一人、二人と首の後ろに剣の腹で叩きつける。

「残り3人!」

「この!」

剣が後ろから迫るも、想定済み。
すぐに動けるように態勢を整えていたので、難なく動き避けることができた。振り下ろされていた剣を、体を回転させる勢いで回し蹴りをし、武器を遠くに飛ばす。
すかさず、懐からナイフを取り出そうとするので鳩尾に剣の腹を当てた。

「次!」

ナイフが顔めがけて飛ぶ。目前で掴んで、ナイフを投げた人物へと足を踏み出した。同時、ナイフを戻すように投げる。頭の横を素通りするナイフに気が逸れた隙をついて、首に手刀を落とす。
さて、最後に残った面倒な男をどうするか、と視線を向ける。すると、その後ろを見て僕は目を見開いた。

「よっ」

「ガッ!?」

軽い掛け声と共に、面倒な男の首に回し蹴りが入る。
いつの間にか炎の壁を消したマオの仕業だった。呻く男の背中に、マオの足が抑え込む。

「うちのお姫サマがあんたと話がしたいそうだ」

「…………」

マオの後ろから、神妙な顔でティアが前に出て来た。



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