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勇者と魔王と聖女は生きたい【45】|連載小説

「結局、お金になりそうなものはなかったのぅ」

「う、うん」

遺跡粗しって、犯罪だよなぁ……。
今更ながらに気付いてしまった事実に戦慄しながら、僕はマオの発言に頷きつつ内心は、遺跡で何も手に入らなかったことに安堵した。
遺跡粗し(未遂)から、ドラゴンを倒しただけの、慈善活動に落ち着いたのだから良しとしよう。

「しばらくデザートは我慢か。世知辛いな」

「マオは甘いものが好きだなぁ」

「うむ。人間はなかなかいいものを作るからな」

「魔族にはデザートがないのです?」

「あるにはある。が、人間が作るデザートのように見た目から楽しむことがないからシンプルで面白くない」

「おもしろくない」

「面白くないんだ」

「あぁ、なるほど!それはダメですね」

「だろう?」

「?」

デザートに面白さを求めるのか?
僕一人だけ首を傾げたまま、マオとティアが二人できゃっきゃっと黄色い声で盛り上げる。
……まぁ、楽しそうでなによりである。

「そういえば、"来なかったね"、マオ」

「うーむ。人がいない場所にいれば"接触してくる"と思ったんだがなぁ」

「え?」

ティアが首を傾げる。
ああ、ティアに"あのこと"を話した後、自然体に振る舞えるかが怪しかったので話していなかったのだ。
説明をしようと、口を開きかけた時に、ソレは来た。

「ようやく見つけたわ!勇者ウェル!」



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