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勇者と魔王と聖女は生きたい【95】|連載小説

「?……??…………???」

つい言葉が出ずに首を捻るばかりだ。

「え?んん?ちょっと待って?僕、イマイチわからないんだけど、女神の預言って復活するものなの?」

「そんな話ありえませんッ!!」

今まで見たことがないティアの強い否定に、僕は息を飲んだ。

「だって女神の預言が復活するのなら!今まで私たちのような"擬い物"が処分されてきたことが、おかしいではありませんか!」

女神の預言から外れたものは、"擬い物"と言われ教会に処分される。
誰であろうと、例外もなく。
いや、例外はいる。
僕たちのように、死にたくなくて、死ぬのがこわかった者が。

「女神の預言が復活するのなら、私たちは一体何だったんですか?この旅は?生きると決めた意思は?私たちの行動は何だったんですか?」

「ティア、落ち着いて……」

「女神の預言で死を詠まれて、怖くて、悩んで、悩んで悩んで怖くて悩んで悩んで、でも、でも、やっぱり諦めて、死を受け入れてしまった……でもマオ様に出会えて、手を引いてもらえて決断した、あの過去は!?」

「ティア」

「女神の預言が復活するなんて、あってはならない。あってはならないんです!」

「ティア!」

肩で息をして興奮をするティアの肩を掴む。
どこか虚ろを見ながら叫ぶように言葉を発していたティアと視線が合った。

「……ティアの目を疑うわけじゃないんだけど、疲れてて調子が悪かった可能性はあるんじゃないかな?」

「でも!今まで見えなかったことなんて一度もなくて!」

「可能性の話だけどさ。慣れない長旅で疲れているだろうし、今までなかったことも、起こるかもしれない」

「それは……でも、疲れただけで、こんなはずがありません!だって、だって、私は、」

「もちろん、この件をこのまま曖昧にするわけじゃないよ。でもいったん、落ち着いたほうがいい。落ち着こう」

「……あ……あ」

ぽんぽん、とリズムよく肩を叩く。
少しずつティアの息の乱れも落ち着いてきた。

「軽率に、女神の預言が復活する、なんて言ってごめん。きっと、ティアの目は正しい。疑ってごめん」

「…………」

ふるり、とティアは力なく首を振る。

「私も、ついカッとなりました……もうしわけありません」

「うん」

落ち着いた様子のティアに胸をなでおろす。
本当に、軽率な発言だったと思う。



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