勇者と魔王と聖女は生きたい【77】|連載小説
「助太刀します!」
「!?助かる!」
馬車にいたのは総勢4人。馬車にいる一般人が1人と、馬車の御者が1人。
そして護衛らしい武装した者が2人だった。
僕たちが、魔物に襲われている馬車へと駆けつけた時、馬車の護衛の1人は怪我を負っていた。
「ティアは彼と一緒に馬車のところで待機してくれ!」
「はい!」
幸い、負傷した護衛の1人の足は無傷のようなので、自力で移動してもらう。
守るべきは負傷した1人と、まだ戦力にはカウントできないティア。そして、馬車から様子を伺っている一般人と御者。4人を守りながら戦わなくてはならない。
「アイシャはティアと一緒に!」
「わん!」
僕とエルがいれば魔物を後ろまで行かせないが、もしもの時のアイシャだ。
人の目があるので巨大化したり、人化したりはできないが、小さいままでも戦力にはなる。
「火の精霊たちよ、魔物たちの前に炎の壁を、お願い!」
少し戸惑いの言葉ながら、エルの魔法により炎の壁ができる。
うまく魔物と僕たちとの間に炎で遮られた。
その後に一本の道ができるように一部だけ炎の壁が消える。これで、この道を守るだけで馬車を守れるだろう。
「エル、助かるよ!」
「礼は後でいいから、集中!」
「ああ!」
念のため様子を見ていたが、炎の壁を超えてくるような魔物はいない。
一本の道から躍り出てきた魔物を切り捨てる。
「ははっ、これは助かるな!」
護衛の人もまた余裕の様子で魔物を切り捨てた。
僕とエル、護衛の3人がいれば何とかなるだろうが…しかし、随分と多い魔物の数に戸惑った。
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