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勇者と魔王と聖女は生きたい【65】|連載小説
マオの不穏な言葉に、ティアとエルは表情を固まらせつつも首を傾げた。
「会いたく、なくなる?精霊が、人間に?」
「どうしてです?」
率直に聞くティアに、マオが肩をすくめた。
「さて。私も想像はついているが、確証はない。自分で精霊に聞いてみるのが一番なのだが、答えてはくれんだろうなぁ」
「…………」
マオの言葉に、エルが顎に手を当てて考え込んだ。
マオの想像しているものが何なのか、素直に考えているのだろう。
「ま、宿題というやつだ。私と同じ想像に行きつくヒントは散りばめられてある。一番ヒントを持っているのはティアだろうな。次にウェル」
「え!私!?」
一番にヒントを持っている自覚がないティアが驚きの声を上げた。かく言う僕もまた内心で驚いていたのだけれども…。
「ふぅん。なるほど、私と合流するまでの旅の間にヒントがあったのね。ティアは聖女として?」
「さて。可能性の話だがな」
「えぇぇ……聖女として?旅の間に?精霊が人に会わなくなる理由のヒントが?」
先ほどのマオの言葉だけで、どこにヒントがあるのか予想を立てたエルは流石だが、ティアはまったく心当たりが浮かばないため焦った様子を見せた。
「あんたの聖女だったころの話を聞きたいわ。私が合流するまでの旅の話もね」
「えぇ~?何をどう話したらいいんでしょう……困りましたわ」
エルがグイグイとティアに迫る。
さて、そろそろいいだろうか。
「あのー!そろそろ僕!休憩したいんだけど!!」
目の前の土人形を剣の腹で吹き飛ばしてから、大声で主張する。
そう、ずっと三人が会話をしている間、僕は土人形と訓練をしていたのだ。
ティアとエルは「あ」という顔をしたが、マオだけはふてぶてしい顔のまま「そうだったな」と言って土人形を消したのだった。
……この場合、どちらがひどいのだろうか。
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