勇者と魔王と聖女は生きたい【100】|連載小説
「小娘、戻ってきていたのか」
「……ガジュマ様」
私とルーファス様と同じく四天王のお一人であり、半人半牛の魔族。
ルーファウス様の部屋の前で、どうしたものかと考えていた私の姿が見えたのか、城に入る姿を目撃されたのか……ドスン、ドスンと地響きを上げながら歩み寄ってきた。
「どうだ?魔王様の仇は倒せたか?」
「それは、その……」
失敗した、と言うことに躊躇して口ごもると悟ったのだろう。
ガジュマ様は目を見開いた後に大きく笑いだした。
「ハーハッハッ!まさかあのルーファスのやつが、勇者の小僧を殺せなかったのかぁ!?」
「うっ……な、何がおかしい!」
「いやいや、あれだけ意気込んで行ったにしては、手土産もないとは。ルーファスの実力も地に落ちたか」
「そんな、そんなことはない!勇者が卑怯な手を使うから……!」
「なるほどなるほど。ということは、あの魔王様が殺されたのも、勇者の卑怯な手によってか。魔王様もルーファウスも腕が落ちたもんだ」
「き、きさま……」
ルーファウス様だけではなく、魔王様までバカにする言動にカッと頭に血が上る。
「おいおい、魔族に立てつくのかぁ?魔王様とルーファスの慈悲で生かされたにすぎん"ニンゲン"ごときが」
「っ」
思わず黙った私に、ガジュマ様が鼻で笑う。
ニンゲン。
魔王様の義理の娘である私は、魔族じゃない。
四天王の一人でもあるアリスは……魔王様に拾われて育てられただけの、人間だ。
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