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勇者と魔王と聖女は生きたい【73】|連載小説

1000年に一人。
魔素の適性が、本当は土と光の二つ。実際に言われた当人というと、戸惑いしか感じませんでした。

「えっと、つまりルーファウスとの戦いで暗くなって、目つぶしのように明るくなったのは……」

「明るくしたのはティア。暗くしたのは私だ」

マオ様が、私、自分と指を指しました。
確かにあの時、マオ様が私に指示した内容は、"魔力を渡して明るくなるようにお願いしろ"でした。

「ん?暗くしたのはマオなのか?」

「そう。私には闇の適性があるからな」

「待って待って。付いて行けないから新しい情報出さないで」

ウェル様は頭を抱え、エルは白目を向きそうな顔をしていました。
私はというと、当事者でありながら他人事な感覚です。

「え?待って?魔素って、5属性じゃないの?火、水、土、風、雷でしょ?」

「……前に、ウェルとティアの2人で魔素の説明をしている時にあえて触れなかったが、我ら魔族は5属性という認識ではない」

「えぇぇ?なんであの時に言ってくれなかったんだ?」

「精霊のことでお主ら頭がいっぱいだっただろう」

「……あ、うん、まぁ」

確かに、私たち人間にとって魔素というものに意思があるなんて露程も思わなかったです。"人間は精霊を物のように扱う悪趣味な魔法を使う"というマオ様の誤解や、お願いするという形で魔法の威力が段違いになることにも衝撃を受けていました。
なので、確かにマオ様が話せなかったのも納得です。

「光と、闇ねぇ……どんなことができるの?」

「さて。闇もまた適性を持つ者が早々生まれない故に、使い方をはじめ、分からんことが多いのだ。ま、模索しておるが、今は目くらましに使うぐらいかな」

「確かに、逃げるにはうってつけの属性だけど……」

使い方がありそうだけどなぁ、とウェル様が呟いていました。
でもマオ様の言う通り、光と闇って使い方は分かりません。
結局、私にとって魔素の適正に光が追加されようと、やることに変わりはなさそうです。



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