勇者と魔王と聖女は生きたい【76】|連載小説
「助けに行きましょう」
完全に思考も体も固まってしまった僕に反して、ティアが力強く言った。
「もし助けたことで彼らが"擬い物"になってしまったら、それで憎まれたら、恨み言はしっかり聞きます。それからどうするか、じっくりと話し合いましょう。私にできることは少ないですけれど……」
僕とエルをしっかり見つめて、断言する。
「私たちにとって、今、見捨てるよりはずっといいはずです」
そう言われて、考える。
僕らなら助けられるのに彼らを見捨てたら。
助けないことで彼らが死んでしまったら。
僕らはどうなるだろうか。
きっと、後悔する。
これからの人生、後悔を引きずるだろう。
「自分が後悔するから助ける。その行動はとても自己満足です。自分勝手です。でも、今はそれでいいのではないでしょうか?この先どうなるかは、誰にもわからないのですから」
「そうね……私たちが助けなくても助かるのか、死んでしまうのか。"擬い物"になるのか、ならないのか」
「"擬い物"になって僕らは憎まれるのか、"擬い物"になっても……感謝されるのか」
想像しても分からない。
預言から外れた先は、誰にも。
「だから、まずは助けましょう」
「そうだね」
「もし手に負えないようなら、マオ様に丸投げしましょう!!」
「台無しだ」
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