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勇者と魔王と聖女は生きたい【47】|連載小説
「さぁ、この子が目覚める前に先へ行くとしようか」
「え!?」
「こ、このままですか?」
落とし穴に落として気絶した少女をそのままに、クルリと身をひるがえしたマオに僕とティアが驚きの声を上げた。
「問題ない。この子がここにいるということは、ルーファスが近くにいるはずだ。奴がこの子を助けるだろう」
「ルーファス?」
「ウェルは一度見ただろう、四天王の一人に銀髪に金色の目の、無駄に顔が整った男。あいつがルーファスだ」
「無駄にって……」
いや、確かにそんな特徴の人型魔族は魔王の間にいたけども……。
僕の親友……いや、親友だったハイスも均整のとれた容姿をしていたが、彼よりも顔は整っていた。無駄に、と吐き捨てたくなる気持ちも分からないでもないが、マオが言いたくなる気持ちは正直首を傾げるしかない。
「あの子の……アリスの世話はルーファスに任せているから、近くにはいるだろう。鉢合わせる前にさっさと離れよう」
「どうしてだ?僕が狙われてたけど、お前の生存を知らせたら解決するじゃないか」
「……すまんが、奴らに私の生存を知られたくない」
「え?」
「説明は追々する。兎に角、ルーファスに見つかる前に離れなければ……私らなんぞ全滅するぞ」
「ぜんめつ」
ぜんめつ?
「勇者と魔王の最強パーティなのに?」
きょとん、と目を瞬かせながらティアが疑問を口にした。
「ルーファス一人に適わん最弱パーティの間違いだ」
マオの苦虫を嚙み潰したような顔で、冗談ではなく本気で言っているのが分かり絶句した。
魔王には負ける僕だけれど、その魔王にすら叶わない存在がいる?
「……勇者と魔王が最弱パーティ」
「……勇者と魔王って……いったい、何なんだろうね」
「さて、何だろうな。ほら行くぞ」
肩を竦めたマオは、さっさと速足で先に歩き出す。そんなマオに僕らは今度こそ、何も言えずに後に続いた。
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