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勇者と魔王と聖女は生きたい【78】|連載小説

「ウェル様!後ろからも来ました!」

ティアの言葉に顔を向けると、僕たちがいる場所から馬車を挟んだ反対側に魔物の姿が遠くから来ているのが見えた。

「エル!こっちは任せてもいいか!?」

「えぇ、任せて!」

「こちらは大丈夫だ!すまんが頼む!」

エルに頼むと、護衛の人からも頼もしい言葉が返って来た。
急いで場を離れて、馬車へ。そして、さらに先へと駆ける。
十数匹の魔物が向かってくる。

「……どうするかな」

十数匹の魔物を通さず、馬車を守らなければいけない。
僕もエルのように、炎の壁を作って魔物の侵入を防ぐのが最良の手だろう。
しかし、僕はまだエルのように魔法の加減はできていない。
一つの森を放火してしまった記憶はまだ新しい。

「……いや、迷っていても、仕方ないのか」

意を決して、魔力を精霊に渡そうとする。
その時、馬に乗って近づいてくる一団が目に入った。

「はーははは!助太刀してやるぞ!!」

先頭に高笑いする男。
5人ほどの彼らは、そのまま魔物の群れへと突っ込んだ。

「えぇぇ……」

僕は展開の速さについていけずに情けない声を上げた。
しかし、茫然としていても仕方ない。
僕もまた剣を持って、遅ればせながら参戦したのだった。



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