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勇者と魔王と聖女は生きたい【104】|連載小説

「昨日の?アラン達のことですか?」

街で傭兵たちを探す前に、彼らと知り合いのようだったイリヤ様に話を聞くことにした僕たちは、イリヤ様の執務室を覗いた。
ちょうど仕事の休憩中だったイリヤ様に話を聞くと、不思議そうな顔をされつつも快く話をしてもらえた。

「アラン……知り合いなんですね?」

「はい。彼らには、街が魔物に襲われた時や、街の外を出る時に仕事を頼むことがよくあるので、親しくさせてもらってます」

「傭兵と仲がいい貴族っていうのも珍しいわね」

エルの忌憚ない発言にハラハラしたが、イリヤ様は気にした様子もなく頷く。

「街を守る、という同じ志を持った人ですから。意外と気が合うんですよ」

「へぇ?あのおっさんと、アンタがねぇ」

エルのなんとも言えない言葉に、つい頷きそうになる。
それはそうだろう。正直、男とは思えないほど線の細いイリヤ様と、戦闘狂のように笑いながら豪快に魔物を倒す傭兵の男だ。
並んでみると、被害者と誘拐犯のようだった。

「向こうは、ただの金づると思ってるかもしれませんね」

イリヤ様がおかしそうに笑う。
そこにはイリヤ様とアランの気さくな関係が見え隠れしているような気がした。

「アランと一緒にいた人たちは?同じ傭兵なのか?」

「えぇ、彼らはアランの下に集って活動している傭兵ですね。行き場のない者たちがお互いに助け合いながら活動しています。アランを頭にした傭兵団、みたいなものです」

「助け合って……」

「そうです。何人いるかまでは把握していませんが……戦える者は傭兵として。戦えない者は彼らのアジトでサポートとして。お互いに助け合って生活していますよ」

あの時、アラン以外に5人の傭兵がいた。
彼らもまた"女神の預言"がなかったが……彼ら以外にも、まだ"女神の預言"がない者がいるということだろうか?

「そのアジトに行けば、アランに会えるかな?」

「どう、でしょうか……自由気ままな人ですから。日中はほぼ外に出ているので、街を歩いているほうが会えるかもしれませんね。アランに用事ですか?」

「ちょっと、聞きたいことがあって……」

「もしよければ、僕が口添えしましょうか?」

「いや、そこまでしてもらわなくていいんだ。ありがとう」

念のためアジトの場所を聞いてから、僕たちは街へ出ることにした。



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