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私の病と、病がもたらしたもの

私は現在、2つの病を抱えて生きている。

昔はよく、「なんで自分だけが、こんな目に遭うんだろう」と思っていた(自分だけではないんだけれども)。

病気の影響で、自信を持てない部分もあった。私は、物心ついた頃からネガティブで自己肯定感が低かったが、それを加速させた要因の2,3割は病気だと思う。


ただここ数年は、「病気も含めての自分」と思えるようになってきた。

なので、変化の過程の整理も兼ねて、これまで病気とどう向き合ってきたかを綴る。



1. 2つの病

はじめに、誤解を招かぬよう記載しておく。

私は病気を抱えながらも、学校や仕事、趣味といった、一般的な日常生活を送ることができている。通院はしているが、手術や入院の経験はない。

例えるなら、「腰痛持ちで長時間座っていられない」「なんとか仕事はできるが、生理がつらい」くらいのレベルだろう。

抱えているものが違うだけで、同様かそれ以上に大変な人はたくさんいると知っている。

ただ、私にとって持病は切っても切り離せないもの。


この前提で、2つの病の概要と、それらが私の人生に何をもたらしたかを書いていく。



2. アトピー性皮膚炎

とにかく痒い病気。国内では50万人ほど患者がいる。優れた治療法はない。

私は、昔から肌が弱い。物心ついた頃からアトピーだった。掻きむしって赤くなったり、出血したりするのが日常だ。

よく「意外と黒いね」「日焼けしてるね」なんて言われたりするのだが、ステロイド(塗り薬)のせいである。ここ数年、ほとんどの時間を屋内で過ごしているが、もう一生白くならない。

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2017年の写真。荒れたことのない右手は本来の色だが、薬を塗布し続けている両腕は黒ずんでいる。首元、肘の裏、膝の裏は荒れがちなので、あまり露出しないようにしている(調子がよい時は、半袖のTシャツも着る)。


デフォルトで痒い時もあるが、一番つらいのは汗

ベタついた身体が熱を持ち、時には蚊に刺される以上の痒みに襲われる。

なので、極力汗を遠ざける選択をしてきた。部活は水泳(水中では痒くならない)、過度の肉体労働はNG、手軽に脱げないニットもNG。必ず痒くなるので、ランニングは苦手。


しかし、割と汗かきなので、10分歩くだけでも汗をかいてしまう。

夏場に自転車で予備校に通っていた時は、汗がひどかったので、着くと必ずトイレの個室で半裸になり、汗を拭っていた。

幸い、急激に強まった痒みは、必ずゆるやかに弱化していく。



20年以上向き合ってきた上で、今のところベターな対処は、痒みに真っ向から立ち向かわず、受け流すこと。

残念ながら「掻かない!」という意思を貫くのは、かなり難しい。目の前にお酒を差し出されて、耐え抜くことができるアルコール依存症患者がどれほどいるだろうか。同様に、本当に痒いときに掻かずにいるのは難しい。


なので根性で戦うのではなく、可変要素を地道にコントロールしていく。

たとえば、保冷剤で患部を冷やしたり、可能なら服を脱いだり、自宅なら仮眠を取って強制的に痒みを遠ざけたりする。疲れていたり、精神状態が悪かったりすると、掻くことへの心理的障壁が崩れやすいので、普段から自分を追い込みすぎないようにする。

他には、自分を俯瞰することも有効である。痒いと感じている自分を捉えると、少しずつだが、「痒くて仕方がない自分」に没入している状況から抜け出すことができる。



3. 漏斗胸(ろうときょう)

もう一つの病気は、胸骨の一部が陥没する漏斗胸。約1,000人に1人らしい。

小さい頃は平均的な体型だったが、小学校高学年になり、周りと厚みが違うと気づき始めた。スイミングスクールでは、身体を見られるのが嫌で、隠すようになった(いま思えば、皆そんなに気にしてなかったと思うけど)。


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2014年、部活での写真。中央が私。


漏斗胸は重度の場合、手術が必要となるが、幸い私は軽度だった。

しかし、肺が曲がった肋骨に圧迫されているため、息切れしやすい。

中高のとき、短距離走は平均的だったが、1,500mは7分を切るのがやっとで、いつも後ろの方だった。高校時代に一度だけ5,000m走った時は、最後から2,3番目で、「長距離走は一生やりたくない」と思った。

これを読んでいただいている方には、どうか頑張ってもできない人間がいることを知ってほしい。


また、この病気のせいだと確信はしていないが、脂肪と筋肉がつきにくい。体重は適正より12kg(17%)も少なく、脚は女性並に細い。これは大きなコンプレックスだが、一方で感謝もしている。

筋トレして筋肉を大きくしない限り、いくら食べても太らないからだ。

私はどれほどお菓子を食べても、深夜にラーメン屋に行っても、太らない。世の多くの人々が、食欲と戦う中で、思うがままに食らって生きられるのは、ラッキーだなと思ったり。

しかし、暴飲暴食はお肌やその他健康に悪いので、結局は健康的な食生活を送るよう努めている。人生、なかなかイージーには進まないものだ。



4. おわりに

今まで生きてきて、病について言語化する機会はほとんどなかったからか、整理したことで妙に達成感がある。

私のアトピーについて、ここまで知っているのは、身近な数人だけ。

漏斗胸に関しては、小4で診断されてから、その言葉さえ口にしていない。あとは、「形が変だよね」「そうだね」みたいな会話を数回した程度。

なにか聞かれても、幼少期は恥ずかしくてはぐらかすことが多かった。

ただ、ずっと親しくしてくれている人たちは、見た目でバカにしたり、判断したりせずにいてくれているから、かしこまって説明する必要性もないんだと思う。





このnoteは、カミングアウトのような勇気を出して書いたわけではなく、ふと思い立って書いただけものです。見てくださった方は、気になることがあれば、気軽に話題にしていただいて構いません。

また、私と同じ病、異なる病、もしくは病気以外のなんらかの特性を抱えて生きる、すべての方々にとって、なにか力になれば幸いです。

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