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「ほめ言葉ジャーナル」で自分を好きになる

前年度から引き続き行なっている「ほめ言葉ジャーナル」について追記です。
学年や学校が変わってもやはり効果は高いと感じています。


前回の記事

「ほめ言葉ジャーナル」の進め方などについては以下の記事をご覧ください。

自分を好きになって欲しい

自分に自信が持てない子どもが、昨今非常に多いと感じています。私の教室も例外ではありません。4月の初めにプロフィールを書いてもらったところ、「自分の良さ・得意なこと」の欄を空欄で出してくる子が本当に多かったのです。半分以上はいたでしょうか。「恥ずかしがって書かない」という線もありますが、いずれにせよ自分の良さを堂々と言えずに生きていくのは今後しんどいだろうと心配に思いました。

自分を好きになるにはどうしたらいいのか?」という問いに何と答えれば良いでしょう。

先生にたくさん褒めて貰えば良いのでしょうか。

友達にたくさん褒めて貰えば良いのでしょうか。

スッキリした考えが浮かばずにいた時、次のような言葉に出会いました。

「最終的な子どもの成長のゴールは、自分のことを好きになることだろうね。相手の良いところを見つけ、それを伝え、相手とのつながりがどんどん強くなっていく。そのようにできるようになった自分が好きになる。これが理想かな」

菊池省三、コミュニケーションあふれる「菊池学級」の作り方、中村堂、2014

誰かに「褒められるのを待つ」。言い過ぎかもしれませんが依存的な姿勢では自分を好きになることなどできません。
「まずは相手の良さを見つける」ところから、自分を好きになるためのステップが始まっていくのだと今は考えています。

自分の良さが「ない」のではなく「気づかない」。
「気づかない」のであれば、気づけるだけの力が必要になるわけですから、教室で鍛えていこうという話です。

繰り返し語っていること

今年度も子ども達に繰り返し語っているのは、ほめ言葉ジャーナルは「他人の良いところを見つける力を伸ばすために行っているのだ」ということです。
「褒めると得するのは誰?」と聞くと子どもたちはほぼ確実に「褒められた人」と答えます。この考え方を最初に、言葉を選ばずに言えば「否定」します。

「褒めると得するのは自分自身です。人の良さに気づくことができる人は、自分の良さにも気づくことができます。人の良さ、自分の良さの両方を知っている人は、あることが上手になります。『協力すること』です。自分の得意は相手のために、自分の不得意は相手から借りることが上手になるのです。」

こんなことを教室で折りをみて話しています。

1人1人のジャーナルに蓄積されているもの

例えば30人学級であれば「ほめ言葉ジャーナル」を1周行うことで、自分のジャーナルに29個(29人分)の良さが書かれていることになります。2周目で58個、3周目で87個…続けるほどに増えていきます。また、1周するごとに「自分の良さ」や「クラスの成長」なども書き込んでいきます。

するとどういうことが起こるかというと、自分の手元(ジャーナル)に「他者」の褒め言葉が大量に蓄積されている状態になります。
「自分は人を褒められる人なのだ」という実感が湧いてきます。その結果お互いの関係が強化されていき、「では、自分の良さはこれか?」と、自分にも関心が向いていきます。

よくある「褒め合い」の実践においては、褒め言葉の載った手紙や言葉などは相手に届けられ、自分の元に保存されることはありません。しかし、褒め言葉ジャーナルはクラス全員の「良い所」が自分のジャーナルに書き残されています。自分が見つけたクラスメイトの良いところが、手元に形として残るのです。
「仲良し」という考え方ではなく「全員に良さがある」という考え方を持ちやすくなると考えています。

【おまけ】発表資料

7月30日(日)のEDUBASE FESにて「ほめ言葉ジャーナル」の実践を紹介させていただきました。その時の発表資料です。よろしければご覧になってみて下さい。

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