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「きのみき」のまま

自己紹介が昔から苦手だ。

自分の所属している組織や役職を名乗ることは、組織や役職の看板に力を借りている感じがして好きになれなかった。また自分がやっていることが具体的な活動として他人からも見えているならいいのだが、なかなかそのような具体的な活動に結びついていないことも多い。

自分がやっていることを言葉で紹介しても、言葉で表すと抜け落ちてしまうことも多いし、言葉にしてしまうと言葉に縛られる感じがしてしまう。とはいうももの、自分のことを開いていかないと、他人も心を開いてくれない。

他人の話しは、自分が経験したことのないものを教えてくれたり、自分にはないモノの見方を教えてくれる。他人に心を開いていく第一歩として、自分のことをまとめて文章で綴っておくことにした。

自分の今の名刺には、表面には、国立にあるシェアハウス「コトナハウス」を運営する会社として「株式会社きのみき」の代表取締役という役職が書いてあり、裏面には、中央線沿線で自分が関わるいくつかのプロジェクトが紹介している。

今回はこの表面の「株式会社きのみき」について書いておきたい。
きのみきは僕自身が代表を務めている会社の名前。鈴木幹雄の真ん中の「木」「幹」から名前をつけた。
元々鈴木という平凡な名字だったので、幹雄の名前で呼ばれることも多い。幹雄の幹の字には愛着がある。でもなかなか、木と幹を結びつける発想はなかった。

会社を辞める前の半年前くらいから、中央線沿線の親しい人たちとこのエリアでこれから何をやったら良いかなどを雑談する会を月に一回ほど半年ほど続けていた。その会のメンバーに、会社を辞めるという決断をしたことを伝えたときに、面白がって考えてもらったのがこの会社の名前だ。
木の幹という言葉は自分がやりたいことを表してくれている感じがして気に入っている。

木の幹は、木に茂る枝や葉と、土の下に隠れている根をつないで、水分や栄養分を相互に運ぶ部分。

葉には太陽の光を受けて光合成をするエネルギッシュなイメージがある。落葉樹であれば、春に新しい葉が生え、夏の光で力強く活動して、秋には紅葉して落葉して、冬に備える。常緑樹はより厚い葉が季節の変化に対応していく。そんな循環を毎年繰り返しながら、木としての成長を目に見える形で表現していく。
根には土壌から水分や栄養を吸い上げる縁の下の力持ちのようなイメージがある。葉が広がるのと同じように土の下で根を生やす。表には見えないけど、木の生えた土地と対話しながら水と栄養を得ていく。

根を張り巡らしながら、枝を伸ばし葉を茂らせる大きな木。強い風に枝や葉が煽られても、根と結びついた幹がしっかりと支えてくれる。幹がしっかりとしていれば枝や葉も大きく広がる。

4年前に32年間勤めていた会社の仕事を辞めて、自分で中央線沿線、特に三鷹から立川の地域で活動していくことにした。

その時のイメージは、自分で何かをやるというよりも、地域で活動している人たちを支える存在になりたいと思った。根が張っているイメージは、中央線のエリアで活動するというフィールドを決めていたので、地域で根付いていくことを想起させていい感じだった。

会社を辞めて自由な時間が生まれたことで、色々な人と出会うこととなった。その中で自分が関わることになるプロジェクトとも出会うことができた。自分が関わることがプロジェクトにプラスになると感じられたら、関わりを持たせてもらっている。枝や葉が茂るように、プロジェクトが広がっていくといいなと思っている。

会社勤めしている間の仕事も、自分が何かをしたいというより、自分の周りの人の思いを汲み取り、その思いを実現することに力を注いできたつもりだ。そんな自分には「きのみき」という会社の名前は相応しいと思った。

会社を辞めてからもうすぐ4年になる。少しづつ動きながら形になってきていることもあると思う。そんな自分の活動を少しづつ紹介していきたい。

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