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今週のkinologue【8/29-9/4】

9月になっていました。いや、気づけば、、、はウソで、毎年8/31は宿題をヒーヒー言いながらやっていた子どもだったので、大人になっても追い立てられる気がして、とても意識する日。8月中にここまでやる!と決めたことが終わらないまま、どーすんだよ。と、自分にツッコミ入れても言葉がない。現在、来年公開の2本の映画の立ち上げを抱えていて、平日はかなり手一杯。この調子で年末まで行ってしまう気がするからオソロシイ。。。

2本の映画は公開時期がずれているので、基本的な作業はずれているものの、今週はどちらも字幕のチェックに追われた。ドキュメンタリーの場合、最も注意するのは、字幕が正しいか、わかりやすいか、だ。しかし、ドラマの字幕は正しくないときがある。意図的な演出だったり、登場人物の記憶違いだったり、テキトーに話しているセリフが存在する。今回、それに気づかず、オリジナル台本を読み返したり、専門家に聞いたり、あたふたしてしまった。ここ最近、ドキュメンタリーばかりやっていたせいか、「字幕が嘘をつく」感覚を忘れていたのだ。いやー!面白い!字幕の世界は奥が深い。
以前、会社勤めだったときには字幕制作を担当者に任せていたので、気になるところがあっても領域を侵すようで言えなかった。しかし、自分で配給をやるようになって、字幕の言葉は宣伝をするときにも大切なものだと知った。なので、時間をかけて向き合うことにしている。実は『〈主婦〉の学校』は上映用の素材を作り、予告編を配信してから字幕に基本的なミスが見つかった。翻訳者も制作者も私も見逃していて、修正にお金がかかったのも凹んだが、1人で配給することが初めて怖くなった。どの瞬間に防ぐことができたのか検証すると、ちょっとした違和感に理由をつけて打ち消した自分がいたことにゾッとした。「自分を信じないこと」。夏葉社の島田さんの言葉がまたズシリと響く。

疲れたときには甘いもの。3人で分けてちょうどよかった
アップルパイ・ア・ラ・モード。

切れたジャケ写をカバーにするなんてとんでもないが、『マグノリア』である。『リコリス・ピザ』の流れで久々観たいなぁと思って、20年ぶりくらいに観た。すっかり忘れていたが、最近何度人に話してもあまり共感されない感覚にドンピシャだった。ラスト近くにカエルが降ってくることで有名だが、ここで観て欲しいのはオープニング。端的に言うと「偶然なんてない。世の中は全て因果がある必然」というエピソードが3つ(だったと思う)出てくる。某元首相が射殺されたと聞いたとき、一番驚いたのは、犯人が現場から2キロのところに住んでいることだった。そんなことってある?お金がないのに遠征してまで殺したいと思っていた相手が、自分の家から2キロのところにやってくると聞いたとき、彼はどう思ったのだろうか。そこから先は、あの日、あの瞬間に限って起きたことのオンパレード。どんなに検証しても、トップが責任をとって辞めても、説明がつかない「偶然」の重なり合い。でもそこには因果があったことは後の報道でわかっていった。この偶然のような必然の引きつけ力に半ば感動を覚えた!という話をしてもなかなか共感されないが、『マグノリア』を観てやっと気持ちが満たされた。

見れば見るほど怖いジャケ。
マグノリアって一体なんだったのだろう?と訊かないのはPTA作品のお約束。

9月になってヘルシンキではデザイン・ウィークが始まった。映画祭もあるけど、いつもこれが楽しみでこの時期にヘルシンキに行っていた。毎日どのイベントに行くか迷って、シティバイクでハシゴするのが楽しい♪
今年は2年ぶりに完全復活したよう。テーマは「We are open」。メイン会場はマーケット広場近くのアアルトの名建築。確かいつもは入れないから、羨ましい限り。くー!来年こそは行きたいなぁ。。。


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