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今週のkinologue【3/14-20】

終わりの見えない確定申告に、絶望的な気持ちで14日明け方に書いていた前回note(そのわりに書いていることは深谷1DAYトリップ紀行と楽しげ)。午後にはe-tax接続障害のニュースが流れ、全然そこまでいってないしー!と半ばヤケになっていたが、夜になって経費が整理・入力されていることに気づく。いつ誰がやってくれたの?と驚くと同時に、他に誰もやる訳ないんだから、いつかの自分がやってくれたに決まってるじゃん!とツッコミ。自分のためにやった行為を、自分が全く忘れているというコント、、、もうやめたい、こういうの。しかし、おかげで終わりが見えた。明日の締め切り当日もまた接続障害が出るだろうと踏んで一気に終わらせ、明け方に初のスマホ申告。会計ソフトのデータがうまく連携されず、その後もカードリーダーの読み込みに時間がかかってイライラがつのった去年と比べたら、ものすごくスムーズに終了。会計年度締めもしたら、まるでお正月が来たような清々しさ。皆さま、今年もお疲れさまでした!

確定申告終わったらね!の約束のひとつだったのが、日本民藝館の「美の標準」。年末に見た「民藝の100年」展と柚木沙弥郎展からの流れ。丁寧な解説がつけられていた「民藝の100年」展とはちがって、西暦も和暦もミックス、20世紀だの昭和だのざっくりな表記にツッコミを入れながら楽しむ。駒場に行く途中に何度も前を通っているが、実は入ったのが初めて。平日でも結構混んでいて驚いた。柳宗悦のコレクションは膨大だから、展示の企画によって出ているものが違うだろうし、リピーターが多いのも納得。また次の展示の時も来よう!駒場公園のお花見も兼ねて。
その後、全然近くないのに、3331で開催終了間近の小池一子展へ。私の理解では、堤清二が作った西武の文化(美術館・PARCO・無印良品など)を形にしたのが小池一子。関東のローカル都市に住むティーンにとっては、ある意味、都会の象徴みたいな人だった。「行ったことあるかも」と思っていた佐賀町エキジビット・スペースには行ったことがなかったことが判明。パリのポンピドゥセンター横のストラヴィンスキー広場にあるニキ・ド・サンファルのオブジェに魅了されてから、ニキを追っていたときに恐らく「行きたかった」という記憶が残っていたのだろう。実は本当に失礼な話だけれど、小池さんは最近亡くなったと思っていて、これも追悼の展示だと思い込んでいた。御年85歳にしてキュレーター、プロデューサー、みんなが頼る(怒られたい!)姉御は現役バリバリ。勝手な勘違いを失礼しました〜と思って展示の外に出たら、カフェスペースでご本人が打ち合わせをしていた。あああ、本当にごめんなさい!プリミティブな民藝館から、進化しつづける現役のオルタナティブまで、振り幅の広い1日だった。

新聞で知った松村雄策さんの死。昔々にビートルズの映画を宣伝していたとき、当時「Cut」編集長だった宮嵜さんに、誰かにプレス原稿を書いて欲しいんですけど、と相談をしたことがあった。そのときに「松村雄策と書いてビートルズと読む」と教えてもらった。渋谷陽一さんの文章を読んで、改めて思い出す。最近、アートディレクターの中島英樹さんも亡くなったし、1990-2000年代初め、カルチャー誌とミニシアター系映画の蜜月に思いを馳せる。そんな時に観たのが『スウィート・シング』。『イン・ザ・スープ』(1992)のアレクサンダー・ロックウェル、1957年生まれだから今年65歳の新作。旧作の発掘が多い中、まさかの新作に胸が踊った(ポスタービジュアルも素敵!)。そのわりにはずっと見逃していて、ようやくシネコヤさんにて。監督の子ども2人が主役で母親役は奥さん(いつの間にかジェニファー・ビールスではなくなっていた)というガチ・ファミリームービー。16ミリフィルムの独特の美しさ、kickstarterで資金を集めて「撮りたいものを撮った」というインディーズ感は懐かしさを感じる。90年代にはこういう映画はたくさんあった。近年は本当に難しくなったから、こうやって観ることが出来たのは奇跡なのかもしれない。今はNYU映画学科で教えていて、『ノマドランド』でオスカーを受賞したクロエ・ジャオは教え子とか。脈々とインディーズ魂のようなものが受け継がれていることにはホッとする。

『〈主婦〉の学校』は27日まで上映延長!シネコヤさんに「映画を目掛けて遠くからきている人が飛び抜けて多いので、宣伝が上手くいっていたということでは」と嬉しいお言葉。深谷シネマさんでも聞いたが、また千葉から来てくださった方がいたとか。有難いことです。劇場上映もいよいよ終盤〜。

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