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今週のkinologue【2/7-13】

2月が1年でいちばん好きだ。何かに追われている1月が終わり、我が家の梅が咲き始めて、手前味噌を仕込んで、、、仕事だけでなく暮らしまわりの色んなものを次年度に向かって立て直すときだから(面倒くさい確定申告も含めて)。いつもより緩やかな時間が流れ、インプットをたくさん企画する楽しい時だが、今年はどうもそれだけとはいかないらしい。先ずは『〈主婦〉の学校』新プロジェクトにまだまだ追われている。こればかりはデザイナーさんの手に渡るまで、ほぼ1人で乗り切らなきゃいけない。そして、今年は10日から始まったベルリン国際映画祭というかEFM(Europian Film Maket)にオンライン参加。何を試写するか決めるだけでも、ものすごく時間が取られる。売り込みのメールにも目を通す。映画祭参加の際にはいつも買付担当が資料を作ってくれて、会社のメンバーで試写を分担していた頃が懐かしい。そういう会社の方々は一般バイヤー向けのオンライン試写では観られないような作品も試写しているだろうし、ミーティングもしているだろうし、バンバン買っている会社もあることでしょう。業界の底辺を生きる者としては、北欧の映画を中心に、他の映画祭で観られなかったり、去年から気になっていた作品をちょこちょこと試写。たまには仕事に関係なく観たい作品があったらそれも試写。大した本数ではないが時間に合わせて観るのは大変だ。

まだ前半戦だが、今年はノルウェー映画がなかなか良い。ノルウェーには行ったことがないが、ここ数年次に行きたい国の筆頭!ノルウェーは一見地味な印象だけど、北欧のオイシイところは最後は全てノルウェー人が持っていくという(ちなみにおとなしいフィンランド人はそのヒエラルキーでは最下層らしい)。今回観た1本目は、ダイナマイト爆破狂な一家に生まれたJohanがコンサバなローカル・コミュニティで愛をもって家族の使命を守り、生き抜いていく "Everybody hates Johan" 。 島の美しい風景も魅力的だが、Johanだけでなく、田舎の人たちが着ているセーターたちがイチイチかわいい。ノルウェーの編み物といえば伝統的なパターンがユニークで、アルネ&カルロスというニットデザインデュオが有名。日本にもファンが多い。

もう1本は都会(オスロ)を舞台としている "Nothing to laugh about"。去年のヨーテボリで予告編を見たときから、良作の匂いがしていた。落ちぶれたスタンダップコメディアンが癌になったことで人生のどん底から這い上がっていき、最後までたくさんの夢を見せていくハートウォーミングなコメディ。いや〜、朝から泣けた。どちらも主役はデカいおじさん。ノルウェー映画といえば、『キッチン・ストーリー』等のベント・ハーメル監督作や『ハロルドが笑う その日まで』などアートハウス系作品はおじさんやおじいさん主役のイメージが強い。それからすると、どちらもエンタメ度が増した感じ。画はきれいだし、イマ的なテーマも含まれているから、他の国では次々と配給権が売れているらしく、日本でもどこかの会社がアプローチしてもおかしくない。そこまで言うなら買えばいいじゃんと思われるかもしれないが、いわゆる「良い映画」には手を出さないkinologueとしては、ここはじっと見守る。『〈主婦〉の学校』は買うのに「良い映画」は買わないというのは、同業者にも不可解かもしれないが、配給とはそういうもの。柔らかいオレンジのケシの花だけが知っている。笑。音楽的にも今年はノルウェーが熱いというのをちょうど今日、野崎さんのブログでも目にした。a-haの映画も公開される。ノルウェー🇳🇴、行きたいなぁ。今年こそ外に出たい!切実に。


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