今週のkinologue【5/1-7】
連休後半もあっという間に終わった。当初後半はずっと雨と言われていたけど、関東で雨はほぼ日曜だけで、飯能のメッツァでのフィンランド映画野外上映も無事開催された。kinologue配給作品では『ファブリックの女王』と『劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション』の2本を上映。どちらも満席だったとか。『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』上映中に『ファブリックの女王』が上映されたのは嬉しいこと。スクリーンに映るアルミの台詞、これがマリメッコなのだと思わせてグッとくる。
どうしようかと迷っているうちにすっかり観忘れていた『生きる LIVING』を激オシされたので、久しぶりに「映画の日」に観に行った。ビル・ナイといえば、昔、宣伝を担当していた『ラブ・アクチュアリー』の破天荒ミュージシャンのイメージが強くて、志村喬と全く重ならなかった。しかし、まるで笠智衆のような佇まいで、口数が少なく不器用、でも本当は熱い気持ちを秘めている余命わずかな「紳士」がそこにいた。圧倒的なイギリス映画らしさの中に日本的なものを感じさせるのはカズオ・イシグロの手腕なのか。構成も素晴らしく、映画というものへの愛も感じた。志村喬がブランコで歌っていたのは「命短し恋せよ乙女〜」だったが、ビル・ナイが歌ったのはカズオ・イシグロの妻の故郷のスコットランド民謡とか。税別800円のパンフレットはインタビューがしっかり載っていて、知りたいことに応えていた。カズオ・イシグロとビル・ナイとディナーをしたときに、この二人と共に『生きる』をリメイクしたいと思い立ったプロデューサーが黒澤プロにアプローチするも、イギリスの小さな製作会社は相手にされず。しかしカズオ・イシグロの名前を出すと興味を持ってくれたが、本当の話か疑われ、カズオ・イシグロにビデオメッセージを撮って貰ってリメイク権を獲得したという微笑ましいエピソードなど。文句なしのクオリティ映画だったがヒットしている気はしない。シネコンはアニメが席巻しているだけに、大人が見応えのある洋画にもっと頑張ってほしいものだ。
ニュースでも取り上げられていたが、連休後半の鎌倉も壮絶な人出だった。しかし、あんなに人がいるのに、17時になるととっとと店じまいするのが鎌倉のすごいところ。夜に人がいないから早く閉めるのか、閉まっているから夜は人がいなくなるのか。廃墟となっていた施設をリノベしてオープンした店に、親戚一同でランチに行ったが、こんなところも鎌倉仕様。なるほど。
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