笑点と大谷選手

「大谷クロ説」を断言した後、米当局発表に覆されて炎上した、ネット有名人が居たそうな。この仕組みを笑点を使って解説してみましょう。

先日、笑点で木久扇師の後任人事が発表された。
(本来、番組名なのでカギカッコが要るが、省略させていただくよ)
発表直後は、後任の人となりや、落語の在京4団体を網羅した件、立川流との歴史的経緯などが記事になっていた。

その後、ニュースではない読み物記事として、サプライズ人事であるとか、力関係を反映したとか、日テレは保身的で後退したとか、諸々の批判記事が流された。低民度で鳴らすヤフコメでさえ、いずれも酷評されていたが。

後任の立川晴の輔師は、実力や、大喜利の経験など、順当な選出だと評価する声が高い。元々昇進試験をめぐって分派したので立川流は特に厳しいそうだ。また、師匠の志の輔師は言うまでもなく多くの弟子を育成している。

じゃ、なぜ、急転直下だの後退だの、後から出てきたのか?
「次は女性落語家を選出」との記事を書いちゃったから「その言い訳をする必要があった」それだけであるwww

当然、隠すべきは隠し、煽るべきは煽り、日テレは交代イベントを最大限に活用するだろう。
それに対し「何か乗らなきゃいけない」のが憶測記事である。最小の材料、または材料ゼロから、目いっぱいの文字数をヒネリ出してお目汚しいただくのが、娯楽媒体の仕事だ。
どのみちウラ取れるような物じゃないんだから、違っていたら、シレーッと流せばそれでいいんですよ。本来は。

古来、新聞が扱う政局でも、スポーツ紙の監督人事でも、推測が外れた時には、一応の言い訳として「急転直下」でテレ隠しする仕来りですが、そんなものは読者も心得たもので「あー、ハズレた言い訳だな」とスルーして読んでいたものです。

「ハズレた言い訳」の作法をわきまえず「女性起用を見送った日テレは現状維持を選んだ」などとムキになって断罪してみせるのは、非常に格好が悪い。

ちょっと昭和風味な話になりますが。
「スポーツ新聞」とか「週刊誌」というのは「いい加減なことを書いてある」代名詞として使われていました。
そうやって、真偽不明の部分があることが、娯楽になり、また、より大胆に踏み込んで、読者の心情に応えることもできるわけです。フラの部分を上手く維持するのが仕事であり、媒体特性であり、存在価値でもあるわけです。

ネットの「ライター」さんは、レガシー与太メディアに比べて、根拠のない話を展開する筆力で劣り、事後に収拾する筆力でも劣り、それでも自分の面目を保とうとするプライドだけが肥大化してるんじゃないかな?

レガシー与太メディアは、大勢の読者を相手に、読み物の最下層に置いていただく。
一方、ネット時代の書き手は、たとえシクジっても特定層に訴えればタコツボに籠もって正義の味方でいられる。
どうせ「いい加減なこと」を書いているのですから「歌丸師蘇生か」「座布団40年ついに山田隆夫氏昇格も」ぐらいトバせば良いのですよ。

あえて信用されないことで、娯楽や、時にはマジな報道の幅を広げる。
こういうのも媒体の芸だと、僕は思いますがね。

ネット媒体やネット文化人というのは、どうも、こうした「自身を下げる」芸が苦手なようです。
むしろ、経歴を詐称したり、作り話をしたり、あの手この手で、自分を大きく見せようとするし、批判があれば、信者やサクラを使って封じる。

メディアとしての歴史が浅いためか? 
ネットが新しい物、アメリカから来た物、賢い人が使う物、として売り込まれてきたためか? 
リアルで駄目だった奴がホラ吹いて、それが徒党を組んでネット業界を作ったためか? 
とにかく、ネット文化人は「いかに権威づけするか?」に熱心で、「ホラですよヨタですよ」と語ることが出来ない。
(やっぱり、経歴に後ろめたい点があるのかなぁ……w)

やっと本題。
通訳の賭博に大谷選手が使い込まれた件。
これも、米当局の捜査を待つしかない日々が続いていた訳なんです。
「米捜査当局が笑点の日テレ」だと考えれば、分かりやすいでしょう。
どうせ、その日が来るまでは、逆さにしたって何も情報は出ませんでした。

じゃぁ、発表までの「間つなぎ」として「どんな話をして世間様の関心を己の銭にするか?」その技量が不足していた訳ですな。

たとえば「間つなぎ」として、米の賭博事情や、米の司法制度、依存症、ピート・ローズ、西鉄、りそな銀、Wヤング………紹介すべき予備知識なんか、いくらでもあるはずです。
たとえば米朝師匠の「鹿政談」なんか、字数をカウントしたら全体の半分ぐらいがマクラですな。オカラをキラズと呼び、奈良で鹿殺しがいかに重罪か、こってりと解説してから本編に入る。

ニュースを楽しんでいただくための予備知識や情報の提供を怠る。
その代わりに「好青年・大谷を絶対に疑ってはいけない」との相互監視を発動させる。そうすると米国世論とは温度差が生じる、そこに在外邦人の「米国では疑いの目」を挟む。
批判は、どれぐらいの分量なのか?どの程度信用のある所から出ているのか?そういった検証をさせない。
つまり「擁護の後に、アンチを挟む」各々を煽って憎悪させるだけ。

掲示板やSNSを上手く操っている……いや、むしろ「トレンドを検索して右往左往している」ような、素人臭い情報発信が目立ってきました。

「大勢を批判禁止の清らかな偽善に囲い込んで、それに飽き足らない中2病には露悪趣味を与える」
これがネット時代のメディア人や書き手? そりゃお粗末ですよね。

我々一般人が「どっち派か?」で賛否を示すのを止めないと、トーシロばかりがメディア人や有名人になって出てきますよ。そういう連中に扇動されてSNSで叫ぶの、もう疲れたでしょ? いいかげんリモコンバイブをアナルから抜けよ。

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