30 day book challenge 第13日
第13日、ここから扉絵にアトリエラムレーズンさんのイラストをお借りします。ありがとうございます。本という雲から雲へ飛び移ってるみたいでステキでしょ。
さて、今回のお題は「タイトルに色の入った本」。
そう言われて最初に思いついたのはトニ・モリスンの「青い目が欲しい」、そしてオルハン・パムクの「わたしの名は赤」。どちらもノーベル賞作家で日本語訳も出てますけど、読んでない。読んでないタイトルを何で思いつくかなあ自分??
読んだものを記憶の底からさらってみても、あんまり思いつかないですね。せいぜい「緋色の研究」(コナン・ドイル)くらいかな。「緋色の研究」はシャーロック・ホームズが最初にワトソン博士と出会う長編小説で……あ、これを書いていて思い出したぞ、ホームズものなら「赤毛連盟」も、「青い紅玉」も、「黄色い顔」も題名に色がついているわ。短編だけどたくさんあるじゃないか。
で、今までのは全部置いといて(笑)、今回とりあげるのはもっと新しい、リアルタイムなノンフィクションです。2019年に出たばっかで各種の賞をかっさらっていったので、既に読んだ方もあるでしょう。
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 ブレイディみかこ 新潮社
こ、れ、は、面白かった!
自分の読書メーターにはこんな風に書きました。
元底辺中学校に息子が入学し、その中で出会う様々な出来事と人々。英国の根深い階級社会や人種差別もだけど、それは毛色が違うだけで日本にもどこにもある。
そうなんです。日本人(イエロー)である著者とアイルランド人(ホワイト)である相方さんとの間に生まれた息子さん。英国在住。行き届いた「いい学校」的な小学校から「元底辺中学校」に進学し、見るもの聞くものすべて驚くことばかり。いろいろな体験があり考えがあって「ちょっとブルー」な時もありました。最後は色が変わっていくのだけれどね。
それにしても英国の「根深い」階級社会は凄いわ~と読んでいたのですが、振り返ってみると日本でも同じじゃない、と思い至りました。顔かたちや肌の色がみんな似ているが故にあからさまにならないだけで。ニュースになるような家庭をめぐる事件も、一皮むけばどれだけの貧困や差別や無知が横たわっているか。マスコミはそこまで深く報道しませんし、知らないことはたくさんあるように思います。ほら、人間ってみんな「自分と似た人」「考えが同じような人」とばかり仲良くするところがあるじゃない?
だって著者たち、日本に里帰りして相当な目に遭っています。ヨシオカさんやレンタルDVD屋のおねえさんはこの本を読んだらどんな風に思うのでしょう。絶対読まないと思うけど、もし読んだら? そしてわたしたち自身は、ヨシオカさんやおねえさんと同じでないと言えるのでしょうか。外国人はOKでも、障がいを持った人は? 自分と考え方の違う人は? 自分の考えを頭から認めないような人は?
わたしは自信がありません。
それにしてもどうして息子さんはこんなに「ものを考える」ことができるのかな。英国と日本の教育の違いなんでしょうか。いいえ、そうとも言えないかも。どちらかというと、親や大人が、どれだけ「子どもの考えることに耳を傾けられるか」「子どもが考えていることを受け止められるか」「子どもが子どもなりに考えることをピックアップして尊重できるか」、そういう差のようにも思います。
2019年時点ではまだ続きが連載中でした。新潮社の「波」で。2020年3月号で最終回だったみたい。ということは、続編が出ますね!! 楽しみ!
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