30 day book challenge 第26日
第26日は、「あなたおすすめの伝記」。
伝記っていうと、キュリー夫人、エジソン、ヘレン・ケラーしか思い浮かばないわたし。それもみんな子ども向けの、字が大きくてあんまり文章が多くない、まんが的な表紙の入ったやつ。
どれも「おすすめ」ってわけじゃないなあ……とぼんやりしていて急に思いついたのがこの本です。「伝記」というにはあまりにも人生の一時期だけしか切り取っていないかもしれない。でも、これはおもしろかった。絶対推薦。まさにおすすめです。
前野ウルド浩太郎さんは、見慣れぬミドルネームがついていますが秋田生まれの生粋の日本人。「ファーブル昆虫記」に感動し昆虫学者になろうとして、大学に進学して「サバクトビバッタ」という恐るべきバッタを知ります。
このバッタはアフリカで周期的に大発生し、農業に甚大な被害を及ぼします。今年はその大発生が起こってしまい、大変な状況と聞きました。しかし撲滅するために強い薬剤を使えばバッタ以外の昆虫や動植物など生態系にも大きな影響が。聖書やコーランにも記されているのに未だに人間はなすすべもないそのバッタを研究するため、前野さんはアフリカのモーリタニアに渡ります。そこでの大奮闘がこの本の「あらすじ」。子ども時代の話は数ページにも満たない程度のエピソードだし、人生のほんの数年間のできごとが書かれているだけですが、これはまごうことなき「伝記」だと思います。
描かれているのは虫への、生き物への、研究への愛。
未知のものへのあこがれと疑問、生をより良くするために他との共存をどうしたらいいか、ポスドクはどうやったら食えるのか、もう読み出すと止まらないので2018年の新書大賞を取ったのもうなづけますね。表紙を見て「怪しい本では?」と思って手に取らなかったあなた、損をしている! このへんてこりんな前野ウルド氏のコスプレに騙されてはいけない(笑)。
つい最近のご本人のまじめな記事はこちらにあります。そうそう、なぜ「ウルド」なのかは本を読んでね。
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